司法書士・行政書士試験 民法 瑕疵ある意思表示と第三者保護の規定

妻が行政書士目指しています

妻が行政書士試験の勉強をしています。
司法書士・行政書士事務所として、特に業際(両士業の業務の境界)を気にすることなく業務をしていますが、事務所として仕事をしていく上では、私が司法書士のみ、妻が行政書士のみの登録をしていれば十分と思いますので(というよりコストの面)、近い将来そうすることが目標です。
ということで、今回は、両試験の共通科目・項目です。

瑕疵ある意思表示等と第三者保護の規定を覚える方法

A → B 間で、瑕疵ある意思表示等(心裡留保、詐欺等)があった場合、原則その意思表示等は「有効」としたうえで、AB間では「取り消すことができる」とされています。
一方、その意思表示等の後などに第三者Cが登場した場合(A→B  C登場)、「AB間の取消しが、第三者Cに対抗できるか?」という問題があります。
慣れない場合、「詐欺の場合はどうだったかな?」「心裡留保の場合はどうだったかな?」と、なかなかすっきり覚えられないのではないでしょうか?

Aの責任の大きさに着目すればよい

民法は、Aの責任の大きさによって、第三者保護の範囲を規定しています。
(Aの責任が大きい場合は、第三者の保護の範囲を拡大し、Aの責任が無い場合は、第三者保護の規定を設けません)

1)Aの責任がきわめて大きい場合 → Cが「善意」であれば(過失があっても)、Cを保護する
・心裡留保(冗談):Aは自ら冗談で意思表示をした(民93条2項)
・通謀虚偽表示:Aは自らBと通謀して虚偽の意思表示をした(民94条2項)

2)Aの責任があるとされる場合 → Cが「善意無過失」であれば、Cを保護する
・錯誤:Aは錯覚して間違った意思表示をした(民法は責任ありと考える)(民95条4項)
・詐欺の被害者:Aは詐欺によって間違った意思表示をした(民法は詐欺の被害者には冷たいです)(民96条3項)

3)Aの責任が無い場合 → Aの取消権を完全に守り、第三者Cは保護されない
・強迫の被害者:Aは強迫されて望まない意思表示をした(民96条1項)
・制限行為能力者:Aは制限行為能力者である(民5条2項、9条、13条4項、17条4項)