改正民法のポイント整理② 求償と二重弁済時の処理
連帯債務や保証において、その求償関係や事前通知・事後通知の要否などは、結構ややこしいので、整理して頭に入れておく方が良いです。
オートマプレミアの記述を整理してみます。
求償の範囲
①求償の範囲が広い場合
→弁済その他免責があった日以後の法定利息、避けることができなかった費用、損害の賠償を含む。(442条2項)
→求償者が「義務」として支払をした場合に適用
・連帯債務者の他の連帯債務者への求償
・委託を受けた保証人が弁済期に弁済した時の債務者への求償
・連帯保証の保証人間相互の求償 など
②求償の範囲が狭い場合
→主たる債務者が、「債務消滅当時に利益を受けた限度において」求償可能(462条1項)
→求償者が「義務とは言えない」支払をした場合に適用
・債務者の意思に反しない、委託を受けない保証人の債務者への求償
・委託を受けた保証人が弁済期前に弁済した時の債務者への求償 など
③求償の範囲がさらに狭い場合
→主たる債務者が「現に利益を受けている限度において」求償可能。(462条2項)
→事後通知の有無にかかわらず、債務者は自己の弁済を有効とみなし、求償に応ずる必要がない。
→債務者の意思に反する保証人に適用。
事前通知・事後通知の整理
事前通知:(範囲の広い)求償をするための要件
事後通知:二重弁済の防止
①主たる債務者
事前通知を要しない。(債務者は保証人には求償しない)
事後通知は、委託した保証人にのみ要する。
→怠った場合、保証人は自らの弁済を有効とみなせる。
②委託を受けた保証人
事前通知を要する。
→怠った場合は、債務者は債権者への対抗事由を持って、保証人の求償に対抗できる。
事後通知を要する。
→怠った場合は、債務者は自らの弁済を有効とみなせる。
③委託を受けない保証人(債務者の意思には反しない)
事前通知を要しない。(もともと求償の範囲が狭く制限されている;上記)
事後通知を要する。
→怠った場合は、債務者は自らの弁済を有効とみなせる。
④債務者の意思に反する保証人
事前通知を要しない。(もともと求償の範囲がさらに狭く制限されている;上記)
事後通知を要しない。(というか事後通知をする意味がない)
→事後通知の有無にかかわらず、債務者は自己の弁済を有効とみなし、求償に応ずる必要がない。
⑤連帯債務者間
(他の連帯債務者の存在を知っていた場合にのみ)事前通知を要する。
→その相手方は、負担部分について自己の有する対抗事由で、事前通知を怠った求償者に対抗可能。
(他の連帯債務者の存在を知っていた場合にのみ)事後通知を要する。
→その相手方は、事後通知を怠った連帯債務者の弁済ではなく、自己の弁済を有効とみなせる。