司法書士試験 法人法の登記

今回は、法人法(一般社団法人、一般財団法人に関する法律)です。
令和2年度を除き、令和元年~昨年度まで、午後の部(商業登記法)で1問出題されています。

頻出のポイント

原則としては、(社員=株主、理事=取締役、などとして)株式会社の規定がそのまま準用されているということをつかんで、株式会社と一般社団法人とで異なっている規定を明確にして、一般社団法人と一般財団法人とで考え方の異なる点を押さえることがコツです。

①一般社団法人の定款の絶対的記載事項
目的、名称、主たる事務所の所在地、設立時社員の氏名住所、社員の資格の得喪に関する規定、公告方法、事業年度
②一般財団法人の定款の絶対的記載事項
目的、名称、主たる事務所の所在地、設立者の氏名住所、設立者が拠出する財産・価額、設立時評議員・理事・監事・会計監査人の選任に関する事項、評議員の選任・解任方法、公告方法、事業年度
③上記公告方法については、「事務所の掲示板に掲示する方法」が認められる。
一般社団法人等登記規則3条は、商業登記規則の株式会社の規定のほとんどを準用している。
→ ネットなどで検索して条文をご覧ください。ほとんど同じと理解して良いと思います。例外だけ覚えましょう。
⑤一般社団法人の社員総会の決議要件
普通決議:総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席社員の議決権の過半数による
特別決議:総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上にあたる多数による
一般社団法人の社員総会、役員の規定は、株式会社の株主総会、役員の規定に類似する。(一般財団法人も同様)
⑦一般社団法人の機関 必置:社員総会、理事 置ける:理事会、監事、会計監査人
 一般財団法人の機関 必置:評議員、評議員会、理事、理事会、監事 置ける:会計監査人
⑧一般社団法人の登記事項は、株式会社の登記事項とほぼ同じ。会計限定監事はないことは例外。
⑨一般財団法人は、評議員会の決議により解散することはできない。(設立者の目的を重要視)
⑩一般社団法人同士の合併で、一般財団法人を設立することはできない。逆も同様。

実際の試験において

令和5年度

ア ○ ④株式会社の登記と同じ
イ ○ ④株式会社の登記と同じ
ウ ○ ④株式会社の登記と同じ
エ ✖ ⑥株式会社の株主総会と同じ
オ ✖ ⑤、⑥ 決議要件を覚えた上で、株式会社の株主総会と同じ

令和4年度

ア ✖ ④株式会社の登記と同じ
イ ✖ 上記ポイント外の知識
ウ ✖ ④株式会社の登記と同じ、手続きは必要だが、添付書面ではない
エ ○ ⑧この例外は覚える必要あり
オ ○ ④株式会社の登記と同じ

令和3年度

ア ✖ ⑦評議員会は必置機関
イ ✖ ④株式会社の登記と同じ、定款の添付は必須
ウ ✖ 上記ポイント外の知識
エ ○ 上記ポイント外の知識
オ ○ ④株式会社の登記と同じ
→ 合併及び組織変更による設立の登記の際には就任承諾書の印鑑にかかる印鑑証明書は不要
→ 株式会社の登記でも、ときどき出題されます!

令和2年度(番外編)

この年は例外です。
司法書士になってご依頼を受けてから調べればよい知識と思います。
こういう問題を気にして、対策をしようなんて思わない方が良いと思います。
ご参考に、イとウが✖です。

平成31年度

ア ✖ ④株式会社の登記と同じ、設立時社員の過半数の一致です
イ ✖ 上記ポイント以外の知識
ウ ○ ①公告方法が定款の絶対的記載事項であることは、株式会社との違い
エ ✖ ④株式会社の登記と同じ
オ ○ ⑩以前はよく出題されました