司法書士試験 ポイント整理 民事執行法

民事執行法については、そのボリュームに対して1問だけの出題で、なかなか力を入れにくいですが、他科目との関連も強く、不登法の記述式を解くにあたっても、「差し押え」とか「執行文の付与」などの知識がきちんとしていないと行き詰ってしまう場合もあり、手を抜けない科目と思います。

とはいっても、オートマプレミアにまとめられている条文知識を暗記しただけで、手続きや制度趣旨などについて深く理解するところまでは行きませんでした。
また、各手続きにおいて、「配当を受けることができるもの」、「配当要求ができるもの」をどうしても理解して身に着けることができなかったので、直前期に後記のような表を作り、丸暗記していました。(結局問われたことはなかったです)

過去の出題を振り返っても、上記のような細かい知識を問うよりも、キーとなる選択肢2~3について、基本の理解があれば、解ける問題がほとんどです。
(よく言われることですが、初見で正誤どちらかを迷う肢は、考えない方が良いです。特に午後。)

実際の出題と問われた基本事項(理解していれば正解できた事項)

平成26年度(各種異議の訴え)
ウ 債務者は、第三者異議の訴えを提起することができない。
オ 各種異議の訴えが提起されれば、裁判手続きとなり、口頭弁論が開かれる。

平成27年度(債務名義となるもの)
4 債務名義となる執行証書は、金銭等の支払を目的とする請求の関するものに限る。
  動産の引き渡しを目的とする請求のものはだめ。

平成28年度(金銭債権に対する強制執行)
イ 差押命令は、第三債務者を審尋しないで発せられる。
ウ 差押えが競合した場合は、各差押え等の執行の効力は、その債権全部に及ぶ。

平成29年度(間接強制)
イ 事情の変更があれば、執行裁判所は、間接強制決定を変更できる。
  (知識というよりは常識的に考えて)
ウ 間接強制は、債務者を審尋しなければ、することができない。

平成30年度(執行文)
イ 確定期限の到来は、執行文付与の要件ではなく、執行開始要件である。
エ 執行文は、完全な弁済を得るために必要なとき、または滅失したとき、更に付与できる。

平成31年度(民事執行全般)
ウ 裁判所の許可があっても、債務名義正本の債務者への到達前に、強制執行を開始できない。
エ 確定した執行判決のある外国裁判所の判決は、債務名義となる。
オ 仮執行の宣言を付した判決を有する債権者は、財産開示手続きの申し立てはできない。

おまけ(私が直前に丸暗記していたもの)

配当を受けることができる者
【不動産強制競売】
①差押債権者
②差押登記前の仮差押え債権者
③差押登記前の担保権者
④配当要求(有債務名義者、差押登記後の仮差押え債権者、一般先取特権者)
※配当要求は、配当要求の終期まで

【不動産強制管理】
①差押債権者(強制管理申立、一般先取特権者申立、差押登記前の担保権者申立)
②仮差押えの執行としての強制管理申立
③配当要求(有債務名義者、一般先取特権者)
※配当要求は期間の満了まで

【動産執行】
①差押債権者(後の事件の申立は配当要求の効果)
②配当要求(先取特権者、質権者☆)
※配当要求は、執行官が現金を手にするまで

【債権執行】
①差押債権者
②仮差押え執行者
③配当要求(有債務名義者、先取特権者)
※配当要求は、第三債務者の供託、第三債務者への取立訴訟の訴状の送達などまで

その他、(呪文のように?)頭に入れること

請求異議の訴え
→ 債務名義が存在しないから、抵当権の実行に異議のあるとき提起できない

その代わり、
不動産担保権の実行開始決定に対する執行異議(競売)、執行抗告(強制管理)において、担保権の不存在を理由とすることができる。