即独の良いところ、つらいところ

良いところ①

仕事の内容、量、やり方、受注するか否か、報酬など、を全て自分が決められる、という自由、につきます。
司法書士になる前の26年間の会社員生活でも、客先に対する仕事そのものは、やりがいもあって楽しいことが多いです。
ただ何をやるにしても、対客先ではなく、上司への説明・説得、他部門との調整などが必要となり、そこにとてもストレスが溜まりました。
(とにかく、社内会議と、そのための資料づくりがものすごく多かった、というと感じが分かるのではないでしょうか。いったい自分たちは何に時間をかけているのだろうと、うつうつとしていました)

一方で、全てを自分でやることになるので、それに気おくれしたり、億劫と思ってしまう人は、就職の方が向いている、と思います。
私は、誰の許可もとらずに、自分でできることがとても楽しいです。
開業前
・事務所物件探し、賃貸借契約締結。
・什器、パソコン、コピー機などの購入設置。
・電話の加入、インターネットとの接続、登記オンラインシステムなどへの加入接続。
・業務ソフトの導入
・開業届などの税務署への届出
開業後の日常
・営業活動(HP作成、挨拶状送付、集会への参加など)※必ずしも飛び込み営業の必要はないです。
・文房具などの消耗品の購入
・確定申告に備えて、帳簿付け(開業したてでは1か月に1回で十分です)
・業務そのもの(市役所、登記所、郵便局は、全て自分でいきます。)
・青色専従者(妻です)の源泉所得税の納入、そして確定申告。

良いところ②

仕事が本当に身につくと思います。はじめての仕事にのぞんで、自分の責任でやりきって得られるものは大きいです。司法書士に限らずどんな仕事でも同じですが。
開業したその日に、幸運にも「相続登記をしてほしい」とご依頼を受けたのですが、一瞬あわてて「開業したてで、できません」と言いそうになりました。
それでも受任し、配属研修と受験勉強の知識を頼りに、はじめて市役所で戸籍謄本を取得し、はじめて本気で戸籍謄本を読んで何度も確認して、はじめて登記申請書を作成し、登記所に出頭して申請書類を書面提出し、無事登記が完了して、はじめて自ら登記識別情報を受領して、お客様にお渡しした、という経験は何ものにも代えがたいものになりました。

つらいところ

仕事があまりない、ということにつきます。
私も、開業後半年たちましたが、相続登記、住所氏名変更登記、商業登記など、少しずつ受任できて全く仕事がないわけではないのですが、「軌道に乗る」状態になるまでには、まだまだかかりそうです。
士業あるあるですが、司法書士や行政書士の先輩方の話を聞いても、
「開業からしばらくは事務所の電話が全く鳴らず、壊れているのではないかと自分の携帯で電話してみた」
「開業から1年は、まったく仕事がなく、飲み会の会費が本当につらかった」
「開業から3年間は本当に暇だった」
という経験談が本当に多いです。
私も、開業前から覚悟はしていましたが、少しずつ自分のやれることを増やして(決して止まっているわけではないです)、これも先輩方がよく言われる「何とかなる」精神で、1年~3年耐えることになりそうです。
(できたら2年くらいで、ベースとなる業務もできて軌道に乗ってほしいです)
開業資金は別にして、仕入れのランニングコストがかかるわけではないので、最初の貯金があれば、何とか耐えることが可能な職業と思います。
仕事がないときに、報酬に目がくらんで、自分の意に染まない(やってはいけない)仕事をやってしまう、ことだけは避けなければいけません。
(司法書士に限らず、開業したての個人事業主が心掛けるべきこととして、多くの人が言われています)