司法書士試験 民法は条文中心の出題に(2)

今回は、令和4年度の民法の問題を振り返ってみます。

令和4年度も条文からの出題が多い!

全部とは言いませんが、やはり条文を知っているか、あるいはその内容を理解しているかを問う問題が多いです。
第12問の「法定地上権」、条文の規定がそもそもない、第15問の「譲渡担保」が、判例からの出題になることは必然ですが、特に第16問以降の後半は、条文からの出題のオンパレードです。
ほとんどの人が知らない判例を知っていなければ正解できない問題はありませんし(正誤について議論が生じることもほとんどなくなりました)、私の受験生時代は一生懸命対策をしていた「学説問題」も、とんと見かけなくなりました。(「学説問題」は憲法で出題の可能性があります)

これからの民法対策方法(民法改正後当分の間)

令和2年度以降、改正民法からの出題です。
(私は、「今年ダメだったら改正民法に切り替えて勉強するのは大変だなー」と心配していた令和元年度ぎりぎりに合格しました)

民法は条文も大きく変わりましたので、出題者としても、間違いがない出題をするためには、条文を根拠にせざるを得ないということの影響が大きいと思います。(あとは、民法改正前後で、正誤が変わる可能性がない有名判例を根拠にするしかない)

条文を丸暗記するような勉強では力はつきませんが、「テキストに書いてある知識を条文を(その項目全部をまとめて)繰り返し読むことで記憶する」ことが司法書士試験得点力アップに最も有効である、と思います。(前回の繰り返しです)

令和4年度の民法の問題

ア ○ 民法5条の理解
イ ✖ 民法102条そのまま
ウ ✖ 民法120条の理解
エ ○ 民法6条の理解
オ ✖ 民法121条の2そのまま

ア ✖ 民法104条そのまま
イ ✖ 民法100条そのまま
ウ ✖ 民法111条、民法653条の理解(重要!)
エ ○ 民法108条そのまま
オ ○ 民法101条の理解(応用力要)

ア ✖ 民法147条の理解
イ ✖ 民法149条の理解
ウ 〇 民法151条そのまま
エ ✖ 民法150条そのまま
オ 〇 民法148条そのまま

ア 〇 民法96条の理解
イ ✖ 判例知識要(基本)
ウ 〇 判例知識要(基本)
エ ✖ 民法899条の2そのまま(基本判例の条文化)
オ 〇 判例知識要

ア 〇 民法192条の理解(代物弁済も取引行為)
イ 〇 民法192条の理解(制限行為での取消後の売買では即時取得が成立)
ウ ✖ 民法192条の理解(指図による占有移転でも即時取得が成立、占有改定NGは判例)
エ ✖ 判例知識要(基本)
オ ✖ 判例知識要(基本)
→(条文そのものというよりは)即時取得の基本論点を問う問題

ア ✖ 民法241条そのまま
イ ✖ 民法179条そのまま
ウ 〇 民法520条の理解(イとウで典型頻出論点)
エ ✖ 民法242条の理解
オ 〇 判例知識要(基本)

ア 〇 条文以前の常識問題(ただし引っ掛け)
イ 〇 判例知識要(基本)
ウ ✖ 条文以前の常識問題
エ ✖ 民法369条そのまま
オ ✖ 判例知識要(基本)

ア 〇 民法347条そのまま
イ ✖ 元本確定前根抵当権を思い浮かべる
ウ 〇 民法360条の理解
エ 〇 抵当権、質権を思い浮かべる
オ ✖ 抵当権を思い浮かべる

ア 〇 判例知識要(基本)
イ ✖ 判例知識要(判断しない方が良い)
ウ ✖ 知らないと難問(判断しない方が良い)
エ ✖ 判例知識要(判断しない方が良い)
オ 〇 判例知識要(若干難しい)
→ アとオは何とか〇と判断できそう

ア ✖ 判例知識要(基本)
イ ✖ 判例知識要(基本)
ウ 〇 判例知識要(基本)
エ ✖ 判例知識要(難問)
オ 〇 基本

ア 〇 民法366条そのまま
イ 〇 判例知識要(少し迷う?)
ウ ✖ 民法364条の理解
エ ✖ 基本
オ 〇 基本

ア ✖ 判例知識要(難問)
イ 〇 判例知識要(基本)
ウ 〇 判例知識要(基本)
エ 〇 判例知識要(基本)
オ ✖ 判例知識要(基本)
→ 譲渡担保は条文の規定はないので、頻出基本判例を押さえることが対策方法です。
→ 私のブログの記事「譲渡担保の過去問研究」参照
→ 令和5年度は譲渡担保の出題がありませんでした。令和6年度出題されるか注目しています。

ア 〇 民法432条そのまま
イ 〇 民法435条そのまま
ウ ✖ 民法439条そのまま
エ ✖ 民法442条の理解
オ 〇 民法445条の理解

ア 〇 民法537条そのまま
イ ✖ 民法95条の理解、応用(迷ったら判断しない)
ウ ✖ 民法537条そのまま
エ ✖ 民法538条そのまま
オ 〇 民法539条そのまま

ア 〇 民法600条そのまま
イ ✖ 民法595条そのまま
ウ ✖ 民法595条、民法583条の理解
エ 〇 民法597条そのまま
オ 〇 民法598条そのまま

ア 〇 民法699条そのまま
イ 〇 民法702条そのまま
ウ ✖ 民法702条そのまま
エ ✖ 民法700条そのまま
オ 〇 民法698条そのまま

ア 〇 民法783条そのまま
イ ✖ 民法780条そのまま
ウ 〇 民法783条そのまま
エ 〇 民法798条そのまま
オ ✖ 民法797条そのまま

ア ✖ 民法849条そのまま
イ 〇 民法843条、民法852条参照、基本
ウ ✖ 民法862条そのまま
エ 〇 民法864条の理解
オ ✖ 民法851条の理解(この条文が頭に入っていれば判断に迷わない)

ア ✖ 民法891条の理解
イ 〇 判例知識要(基本)
ウ ✖ 民法892条の理解、基本
エ 〇 民法894条そのまま
オ 〇 民法893条そのまま

ア ✖ 民法1028条そのまま
イ 〇 民法1032条そのまま
ウ ✖ 基本
エ 〇 民法1036条の理解(準用される条文を押さえよう)
オ ✖ 民法1029条の理解