司法書士試験 直前整理 民事執行法

手持ちのオートマプレミアによると、
民事訴訟法 記載ボリューム157頁 出題数5問
民事保全法 記載ボリューム 35頁 出題数1問
民事執行法 記載ボリューム 80頁 出題数1問

と、民事執行法は、勉強労力の効率の悪い科目になっていますが、合格に近ければ近いほど3点というのは大変大きく、決して捨てることはできません。
(また不登法、民法をよく分かるためにも、差押えと仮差押えの違いなどの理解は必要です)
また、最近の出題を見ても、細かい知識は問われず、基本を知っていれば解ける問題ばかりで、捨てるのはもったいないです。

基本ポイント

①執行異議(違法執行に対する不服申立、申立期間の定め無し)
 執行抗告(違法執行に対する不服申立、定めがある場合だけ可能、告知から1週間以内)
 ※強制競売開始決定には、執行異議ができ、執行抗告はダメ
 ※強制競売申立却下には、執行抗告できる

②強制執行の開始要件3つ
 債務名義の存在、執行文の付与、債務名義の債務者への送達
 ※少額訴訟判決、支払督促には執行文の付与が不要
 ※確定期限は執行開始要件、不確定期限は執行文付与の要件

③債務名義の代表例
 確定判決、仮執行宣言付き判決、執行証書(内容も大事)、執行判決付外国判決、和解調書など

④債権執行
 差押命令は、債務者と第三債務者を審尋しないで発する。
 差押えが競合したときは各差押えの効力は債権の全部に及ぶ。

⑤代替執行および間接強制を決定する場合、債務者を審尋しなければならない

⑥抵当権の実行に異議があるとき、債務名義が存在しないので請求異議訴訟を提起できない。
 その代わり、執行異議(競売)、執行抗告(強制管理)において、担保権の不存在を理由とすることができる。

⑦財産開示請求
 仮執行の宣言を付した判決などの債務名義を持つものは、開示請求できない。
 債務者は、開始決定に対し、執行抗告することができる。
 

実際の出題

令和2年度(債務名義、債権執行、財産開示手続き)
イ 仮執行の宣言を付した判決は債務名義に該当する。(ポイント③)
※この年は正解のために、ウとエについて、債権執行のやや細かい知識が必要でした。

平成31年度(債務名義、強制執行開始要件、財産開示手続き)
ウ 裁判所の許可があっても、債務名義正本の債務者への到達前に、強制執行を開始できない。(②)
エ 確定した執行判決のある外国裁判所の判決は、債務名義となる。(③)
オ 仮執行の宣言を付した判決を有する債権者は、財産開示手続きの申し立てはできない。(⑦)

平成30年度(執行文)
イ 確定期限の到来は、執行文付与の要件ではなく、執行開始要件である。(②)
ウ 不確定期限は、債権者が事実の到来を証する文書を提出したときに限り、執行文を付与できる。(②)
エ 執行文は、完全な弁済を得るために必要なとき、または滅失したとき、更に付与できる。

平成29年度(間接強制)
イ 事情の変更があれば、執行裁判所は、間接強制決定を変更できる。(常識的に考えて)
ウ 間接強制は、債務者を審尋しなければ、することができない。(⑤)

平成28年度(債権執行)
イ 差押命令は、第三債務者を審尋しないで発せられる。(④)
ウ 差押えが競合した場合は、各差押え等の執行の効力は、その債権全部に及ぶ。(④)

平成27年度(債務名義)
4 債務名義となる執行証書は、金銭等の支払を目的とする請求の関するものに限る。
  動産の引き渡しを目的とする請求のものはだめ。(③)

平成26年度(各種異議の訴え)
ウ 債務者は、第三者異議の訴えを提起することができない。
オ 各種異議の訴えが提起されれば、裁判手続きとなり、口頭弁論が開かれる。