司法書士試験 ポイント整理 刑法

私の得点推移(平成27年度~31年度)

3→3→3→2→3/3

直前期には、「執行猶予の適用条件」、「賄賂罪の類型区分」、「放火罪の類型区分」などを結構神経質に、整理して記憶してきました。(後記)
しかし、振り返ってみると、自分自身は、そのような細かい知識を問う出題に出会ったことはありませんでした。

実際の出題を振り返ってみると、
総論-各項目の基本的な考え方の理解と主要判例の知識
各論-各犯罪類型の構成要件の正確な理解
を問われる問題が多かったように思います。
(現在、法務省HPで確認できる平成26年度以降の話にはなります)

実際の出題と問われた基本事項(理解していれば正解できた事項)

平成26年度
第24問(共犯)
ア 共同正犯の成立には共同実行の意思が必要だが、A→B→Cのような共同意思成立でもよい。
イ 共謀関係の成立した範囲で共犯も成立する。(A:殺人罪、B:傷害致死罪など)
第25問(罪数)
・併合罪、観念的競合、牽連犯の類型知識。
第26問(詐欺罪)
・詐欺罪の成立には、「人を欺き」、「欺きとの因果関係で」、「財物や利得(2項詐欺)を交付させる」ことが必要なことの基本的理解。

平成27年度
第24問(故意)
ア Aを殺すつもりで、Bを殺してしまっても、殺人罪が成立する。(法定的符合説)
ウ 文書偽造罪の文書に当たらないと思っていても、偽造文書を作成すれば、文書偽造罪となる。
第25問(中止未遂)
・中止未遂が成立するには、「着手があったこと」、「自ら中止した(真摯に努力した)こと」、「結果が発生しなかったこと」が必要。
第26問(強盗罪)
・事後強盗罪の成立には、暴行または脅迫が、「窃盗の機会」に行われることが必要。

平成28年度
第24問(間接正犯)
ア 是非弁別能力のある13歳の息子Bを教唆した場合、息子は道具といえず、間接正犯とはならない。
ウ 殺人未遂の間接正犯が成立するには、道具となる人による殺人の着手が必要。
第25問(窃盗罪)
イ 無断で他人の自動車を5時間運転して元の場所に戻しても窃盗罪となる。
  (⇔ 短時間の自転車借用は窃盗罪とならない)
オ 窃盗罪の成立には、他人の占有の侵害のほかに、不法領得の意思が必要。
第26問(犯人隠避罪、証拠隠滅罪)
ウ 他人の身代わり出頭は、犯人隠避罪となる。
オ 証人を隠せば、証拠隠滅罪となる。

平成29年度
第24問(住居侵入罪)
エ 家出をした者が強盗目的で自宅に侵入すれば、住居侵入罪となる。
ウ 建物自体に侵入しなくても、金網柵を引き倒して敷地に侵入すれば、建造物侵入罪となる。
第25問(正当防衛)
イ 侵害が確実に予期されていても、正当防衛が成立する場合がある。
ウ 反撃によって生じた結果が、侵害されようとした法益より大きくても正当防衛は成立する。
第26問(横領罪)
・横領罪の構成要件は、「自己の占有する他人の物を横領する」であることの理解と各ケースへの当て嵌めができること。

平成30年度
第24問(文書偽造罪)
イ 同姓同名であっても、領収書の肩書を偽って利用すれば、文書偽造罪となる。
ウ 偽造免許証を携帯して運転しただけでは、偽造公文書行使罪にはならない。
第25問(自首)
・捜査機関に犯罪事実と犯人が発覚した後には、自首は成立しない。
第26問(殺人罪、傷害罪等)
ウ 外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせても、傷害罪となる。
オ 狩猟免許を受けて繰り返し狩猟を行うものが、過失で、銃で他人にけがを負わせれば、「業務上」過失致傷罪となる。

平成31年度
第24問(共同正犯)
ア Aを殺すつもりで、Bを殺してしまっても、殺人罪の共同正犯が成立する。(法定的符合説)
オ 傷害罪→傷害致死罪などの結果的加重犯については、基本となる犯罪への故意があれば、共犯全ての責任となる。
第25問(放火罪)
イ 布団、その下の畳を焼損した場合、それは建造物の一部とは言えず、放火罪の未遂である。
エ 現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用する」の「人」に、犯人は含まれない。
第26問(名誉棄損罪)
ア 名誉の主体は、自然人に限られず、法人を含む。(⇔脅迫罪の主体に法人は含まれない
ウ 公然と事実を摘示とは、現実に認識されることまでは要せず、不特定又は多数人が認識できる状態に置くことで足りる。

おまけ(直前に整理記憶していたが、自分の試験に役立つことはなかった)

①執行猶予
初度の執行猶予
対象者:禁固以上の刑に処されたことのない者(執行終了・免除日から5年経過している者でも良い)
対象刑:3年以下の懲役または禁錮、50万円以下の罰金
保護観察:任意的

再度の執行猶予
対象者:執行猶予期間中に罪を犯したが、情状に特に酌量すべきものがある者(保護観察中の者はダメ)
対象刑:1年以下の懲役または禁錮(罰金はダメ)
保護観察:必要的

執行猶予の(必要的)取り消し
執行猶予の期間中に実刑に処せされたか、処せられたことが発覚したとき

②賄賂罪
単純収賄罪、受託収賄罪、加重収賄罪、事前収賄罪、事後収賄罪、第三者供賄罪、あっせん収賄罪。
このうち、請託がなくても成立するのは、単純収賄と加重収賄。
不正行為をしたことが成立条件となるのは、加重収賄、事後収賄、あっせん収賄。

③放火罪
現住建造物等放火罪      (抽象的危険犯)
他人所有の非現住建造物等放火罪(抽象的危険犯)
自己所有の非現住建造物等放火罪(具体的危険犯)
建造物以外への放火罪     (具体的危険犯)
→ (例)他人のもの(建造物以外)に放火し、危険が生じなければ、器物損壊の問題

④その他呪文のように覚えるもの
横領罪と傷害罪に未遂はない。(背任罪に未遂はある)