登記済証(古い権利証)の原本還付手続き

またまた登記所から電話でのご教示を頂きましたので、報告します。

通常の所有権移転登記

登記の目的 所有権移転
原因・日付 ○年○月○日売買
      権利者 A
      義務者 B
添付情報  
 登記原因証明情報  ;登記所差入式のものは原本還付できない
 登記済証(B)  ;何もしなくても還付される
 印鑑証明書 (B)   ;原本還付できない
 住所証明情報(A) ;原本還付することが多い
 代理権限証明情報  ;原本還付できない

登記識別情報は「情報」なので、「原本」という考え方がなく、申請者が提供した「原本」のコピーを登記所は保管することがないのと同様に、登記済証も「正しい登記済証を提供した」という事実のみが審査され、申請者が提供した「原本」のコピーを登記所が保管する必要はないということだと思います。(私なりの解釈)

相続登記

登記の目的 所有権移転
原因、日付 ○年○月○日相続
      相続人(被相続人B)A

添付情報
 登記原因証明情報          ;通常原本還付する
 住所証明情報(A)      ;原本還付することが多い
 住所証明情報(被相続人) → 下記、被相続人の同一性証明の意味合い
 代理権限証明情報          ;原本還付できない

相続登記における、被相続人が同一人であることを証する情報

相続登記においては、前提としての住所変更登記を要しない代わりに、
被相続人(登記簿上の住所)=被相続人(死亡時の住所)を証する情報を提供します。

(1)住民票の除票の写し ; 通常はこれ
(2)戸籍の附票 ; 住所を2回以上移転している場合(住所の変遷の記載あり)
(3)登記済証
;令和より前は、(1)(2)の保管期間が5年!であったので取得できないことも多く、登記済証の提供でよいとする先例あり
(4)不在住・不在籍証明書+相続人全員での(迷惑かけませんという主旨の)上申書
;(1)~(3)が提供できない場合の救済策として、こういう方法もあり

相続登記の(3)登記済証を原本還付するには原本還付手続きを要します

ここでの原本還付手続きとは、コピーを提供して、そこに「原本と相違ない」旨を記述して記名押印をすることをいいます。

上記の場合とは異なり、被相続人(登記簿上の住所)=被相続人(死亡時の住所)を証する情報として、申請者が提供した者の「原本」のコピーを登記所が保管する必要があるからです。

登記所のご担当「登記済証は原本還付不要ですか?」
私「....。申し訳ありません。念のため、原本還付をお願いいたします。」
登記所のご担当「今回は私の方で処置しておきますので、次回からコピーの添付お願いしますね。」

いつもありがとうございます!
売買などの所有権移転登記の習慣から、登記済証の原本還付手続きをすることを全く思いつかず、またお手数をおかけすることになりました。

今後使う可能性のない、古い登記済証を原本還付する意味はある?

相続登記では新しい登記識別情報が発行されるので、過去の登記済証は記念品としての価値しかなく、原本還付する絶対的な必要性は無いのですが、原本還付できるものは全て還付してご依頼者にお返しするのが原則だ、と考えることもでき、迷うところです。

逆に、不要な書類を返すことは、ご依頼者の混乱を招く、という考え方もあります。

結論として、原本還付できるものは全て原本還付しておいて、それをご依頼者に返却するか、または、自分でシュレッダー処分するかどうかは、ご依頼者個別の状況を考えて判断する、ということに落ち着きます。