原本還付について
配属研修中です。
受験勉強中は、原本還付の規定などについては、「細かいことを聞かれるなー」と思っていましたが、実務においては、依頼者への返却要否に関わるため、常に気を使うことなんだ、と分かりました。
売買による所有権移転登記
・登記原因証明情報
売買契約書を添付することはほとんどなく、登記所差入方式の登記原因証明書(試験知識としては認印OKですが、決済の場で登記義務者の実印をもらうことも多い)を作成する。
→ 原本還付不可だが、権利者への登記完了書類に含めたいのでコピーを取る。
・登記識別情報
オンライン申請(特例方式)では、暗号化して送信する。
権利証の場合は、自動的に戻ってくるので、記念品として希望される登記義務者に返却する。
・印鑑証明書
原本還付できない。
・住民票の写し
通常は、原本還付しない。
・委任状
原則として、原本還付できない。
登記完了後、登記権利者には、登記識別情報、登記完了証、登記原因証明書(コピー)、登記簿謄本(登記申請の最終結果)をきちんとファイルに綴じて、書留郵便で送付する。
住宅ローン借入時の抵当権設定登記
・登記原因証明情報
銀行が発行する抵当権設定証書(登記申請としては認印OKですが、銀行の書類として義務者の実印が押してある)を添付する。
絶対に原本還付が必要。
→ 原本還付を忘れて申請してしまうと、銀行に対して始末書を書くことになるそうです。
・登記識別情報
オンライン申請(特例方式)では、暗号化して送信する。
登記権利証でも、登記識別情報でも、登記義務者に返却する。(受取証書などでしっかり記録する)
・印鑑証明書
原本還付できない。
・委任状
原則として、原本還付できないが、銀行の代表取締役から支店長への登記申請権限委任状は原本還付する。
・資格証明情報
会社法人等番号にて、添付を省略する場合がほとんど。
登記完了後、登記権利者(銀行)には、登記識別情報、登記完了証、登記原因証明書(設定証書)、登記簿謄本(登記申請の最終結果)をきちんとファイルに綴じて、書留郵便で送付する。
銀行の代表取締役から支店長への登記申請権限委任状も返却する。
住宅ローン返済完了時の抵当権抹消登記
・登記原因証明情報
銀行の発行する抵当権解除証書を添付する。
登記権利者に登記完了後に渡してあげたいので、原本還付する。
・登記識別情報
オンライン申請(特例方式)では、暗号化して送信する。
・委任状
原則として、原本還付できないが、銀行の代表取締役から支店長への登記申請権限委任状は原本還付する。
・資格証明情報
会社法人等番号にて、添付を省略する場合がほとんど。
登記完了後、登記権利者(ローンを完済された方)には、登記完了証、登記原因証明書(解除証明書)、登記簿謄本(登記申請の最終結果)をきちんとファイルに綴じて、書留郵便で送付する。