譲渡担保の過去問研究

「譲渡担保」は、オートマなどのテキストにも詳しくは記述されていないにもかかわらず、毎年1問出題されます。「オートマ過去問の譲渡担保の項を直前期に数回繰り返して暗記してしまう」という対策が有効でしたので、紹介します。

例によって過去問のすべての肢にこだわることは逆効果で、正解を導くためのカギとなる知識は、一定のものに収束されるように思います。

本試験においてよく問われる知識

譲渡担保権者は目的物の所有権を取得し、ただ、取得した権利を担保目的を超えては行使しないという債権的な拘束を受けるにとどまる。

②譲渡担保権者が目的物を第三者に処分した場合、第三者は善意悪意によらず、その物の所有権を獲得する。

③譲渡担保の実行においては常に清算が必要となる。清算金の支払いと目的物の引渡しは同時履行の関係となり、清算金が支払われるまで設定者には留置権が認められる。(占有改定により設定者も目的物を占有している場合)
⇔ 債務の弁済は、目的物の返還に対して先の履行が必要。(譲渡担保権者が目的物を占有している場合)

④譲渡担保権の設定は、目的物の引き渡しが占有改定でも第三者に対抗できる。(設定者も占有継続)

⑤構成部分が変動する集合動産であっても、目的物の範囲が特定できるときは、1個の集合体として譲渡担保の目的物となる。

⑥集合動産を目的とする譲渡担保設定者が、通常の営業の範囲を超えて動産を処分しても、その動産が集合物から離脱すれば、その相手方が所有権を取得する。

⑦集合動産譲渡担保権に基づく、物上代位を認めた判例がある。

実際の出題でカギとなった肢(各肢は略記しています)

平成26年度 第15問
イ 譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的物を第三者に譲渡した後は、設定者は当該第三者の主観的様態にかかわらず、債務を弁済して目的物を受け戻すことができない。
→○(上記②そのまま)
エ 債務者が弁済期に弁済しないときに債務の弁済に代えて目的物を確定的に所有する譲渡担保契約を締結した場合、譲渡担保権の実行には、譲渡担保権者は目的物の具体化する価格から債権額を差し引いた残額を清算金として債務者に支払わなければならない。
→○(上記③そのまま)

平成27年度 第15問
ア 集合物譲渡担保権の効力は、集合構成動産が滅失した場合に設定者に支払われる損害保険金に係わる請求権に及ぶ。
→○(上記⑦そのまま)
イ 弁済期到来後、譲渡担保権者が弁済を請求した場合、設定債務者は弁済と引き換えに目的物の返還を請求できる。
→×(上記③そのまま)
ウ 譲渡担保権の実行に伴う設定者の清算金請求権と譲渡担保権者の目的物の引渡請求権は同時履行の関係に立つ。
→○(上記③そのまま)

平成28年度 第15問
イ 設定者は譲渡担保権者が清算金の支払い・提供をしない間であっても、受戻権の利益を放棄して、清算金の支払を請求することができる。
→×(上記③の応用。常識的に考えて)
エ 譲渡担保権の目的不動産が、設定者が賃借する土地に建てられた建物であり、譲渡担保権者が当該建物の引き渡しを受け使用・収益をしていても、受戻可能期間内は、賃借権の譲渡または転貸は生じておらず、土地賃貸人は無断譲渡・転貸を理由として、賃貸借契約を解除できない。
→×(上記①の応用。常識的に考えて)

平成29年度 第15問
エ 土地の賃借人がその土地上に所有する建物を譲渡担保の目的とした場合には、譲渡担保の効力は、土地の賃借権に及ばない。
→×(平成28年度 第15問 エの一部を聞いただけ)
オ 構成部分の変動する集合動産について、その種類・所在場所・量的範囲を指定することで目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。
→○(上記⑤そのまま)

平成30年度 第15問
イ BはAに対して譲渡担保権を設定後、通常の営業の一環として、Cに対し目的の集合動産の構成物の一部を売却し、Cの倉庫に搬入した。この場合、被担保債権の弁済期を徒過しても、AはCの倉庫内のものに対し、譲渡担保権を実行できない。
→○(上記⑥。集合物から離脱すれば、処分の相手方が所有権を取得。)
エ 譲渡担保権によって担保される損害遅延金の範囲は、最後の2年分に限られない。
→○(2年分に限られると聞いたことがないという理由から何となく○。この年は難問。)

平成31年度 第15問
ア 集合物譲渡担保権の効力は、その構成物が滅失した場合に支払われる損害保険金に係わる請求権に及ぶ。
→○(上記⑦そのまま)
イ 譲渡担保契約において、目的物を「設定者甲店舗内の商品一切のうち設定者が所有するもの」と定めたときは、いずれの商品について所有権を有するか外形上明確になっていなくても、目的物は特定されている。
→×(上記⑤。平成29年度第15問オ。おそらく×と想定できそう。)
エ 集合物譲渡担保権が設定され、占有改定により対抗要件を具備した後に、あらたにその集合動産の構成物となった動産についても、譲渡担保権を第三者に主張できる。
→○(上記⑤そのまま)
オ 集合物譲渡担保権の設定者が、通常の権限範囲を超えて、構成動産を売却した場合、当該動産が集合物から離脱したかどうかにかかわらず、その所有権は「譲渡担保権の負担付きで」買主に移転する。
→×(上記⑥。明らかに×っぽい。)