抵当権抹消登記の登記原因証明情報の中身が気になった話

実務では添付情報の内容の方が大事

司法書士試験では、「登記原因証明情報」とか、「公告及び催告をしたことを証する書面」などと記載すればそれで正解・終了の場合がほとんどでしたが、実務では、不動産登記においては、「登記原因証明情報はこのように書いてあってOKかな?」とか、商業登記においては、「催告をしたことを証する書面って、どういうふうに書けば良いのか?」と、何を添付するのかというより、その中身に日々気を使います。

たとえば、銀行が発行して司法書士に交付する根抵当権設定の証書や委任状には、共同根抵当権であっても、「共同」の文字が抜けている場合がほとんどなので、司法書士がボールペンで「共同」と記入して、共同根抵当権設定登記申請の添付書面としないと、補正の指示がくるというようなことを、日々気にしております。

決済業務での名変登記や抵当権抹消登記は緊張する

単独の仕事として、登記名義人住所変更登記や抵当権抹消登記を受任したときは、ほとんど緊張しません。

こんなことは言ってはダメですが、たとえミスしたとしても、ご依頼者に大きな迷惑をかけることはないからです。

一方で、不動産売買決済による所有権移転登記の前提登記の名変や抵当権抹消登記は非常に神経質となり、何度も何度もチェックしてから申請します。

幸い、売主の住所変更登記を抜かした申請をする、という、取り返しのつかない(泣いてあやまるしかない)ミスはしてませんが、できれば軽微な補正もなくスムーズに登記完了になるように祈るように申請をします。

抵当権抹消登記の登記原因証明情報について心配になった

先日、売主の住所変更→抵当権抹消→買主への所有権移転→共同根抵当権設定の連件申請の決済に立会い、事務所に帰って来てから何度も何度も確認をして、それこそ、「共同」根抵当権・・の文字もしっかり確認して、オンライン申請の送信ボタンを押した案件がありました。

その後、書類を整理して、抵当権抹消登記の登記原因証明情報をながめていたら、「これでいいのか?」と急に不安になりました。

「抵当権解除証書 〇〇法務局受付〇〇号をもって設定登記を受けた下記不動産に対する抵当権は〇年〇月〇日解除しました。〇〇銀行 支配人〇〇」

要するに、抵当権設定者(本件の登記権利者)の記載が無いのです。「だれがだれに対して解除した」ということが書いてなくて、登記原因を証明しているのかな?という不安です。

過去に自分が申請した抵当権抹消登記の登記原因証明情報を調べてみました。

ほとんどが、「抵当権解除証書 (空欄)殿  〇〇法務局受付〇〇号をもって設定登記を受けた抵当権~」と宛先欄が設けてあって、申請者の方で、登記権利者の住所と名前を記入してくださいという形式になっていました。

今回も、自分で気づいて、解除の相手方(売主)の氏名住所を記入しておけばよかった。。と数日間後悔していましたが、結論としては、登記所から何の電話もなく、無事に登記が完了しました。

解除は単独行為だから、相手方の表示が無くても良いのか などなど、後になればいろいろ考えられますが、そのときは、やはり不安になります。