司法書士に事務所は必要?
司法書士が開業するには、事務所を定めてそれを司法書士名簿に登録しなければなりません。
その意味ではもちろん必要なのですが、今回は、それが自宅でも良いか?ということについてです。
4年間の経験では
私は2019年に司法書士試験に合格し、その半年後には会社員を辞めて、コロナもあって約1年間の準備期間の後、2021年4月に司法書士事務所を開業しました。
もはや「雇われ人」には決してならない!という人生の目的もあったので、2か月くらいの「配属研修」を受けたのみの、いわゆる「即独」です。
今から考えると(というか最初から分かってはいましたが)、修行を全くしないで開業してしまうのは、若干「無理ぎみ」ですが、何とか今でも司法書士の仕事を続けております。
司法書士の仕事にはお客さんと打合せができる事務所が必要だと思い込んでいたことと、生活と仕事のけじめをつけたいということで、家の近所「千葉県船橋市海神」に、路面店舗を見つけて賃貸借契約をし、デスク、エアコン、ミーティングテーブルなど事務所機器一式を揃えて開業しました。
事務所所在地は、小学校にも近い、完全な住宅街です。駅からのアクセスは少し悪いです。(電車の出張が少しおっくうでした)
ここでの4年間の経験をまとめると次のとおりです。
1)司法書士事務所を見て、「相談をしたい」と飛び込んでいらっしゃるお客さんはごくわずか
開業初日に「相続登記をしてほしい」というお客様がいらっしゃって「前途は明るい」と思いましたが、それ以後、数か月間以上も、パッタリでした。
駅前、市役所前、法務局前などなら、事情は違うのかもしれません。
2)事務所の存在が不要の理由(お客様からの紹介、口コミ紹介、ネット検索、電話相談会、無料相談会、配布したチラシなど)でお声がけ頂いたお客さんが95%以上
そしてそのほとんどの方が、私の事務所には来られないまま、ご依頼業務が完了します。
例えば相続登記ならばご高齢の方も多く、交通アクセスの悪い住宅街の事務所に来て頂くことは難しく、私が、電車、バス、車でフットワーク良く、ご自宅等を訪問した方が早かったからです。
もとの理想は、孤独のグルメの五郎さん
もとはといえば、「孤独のグルメ」を見て、「私も会社員をやめて、五郎さんみたいな仕事をしよう」と思ったのが、司法書士になった大きな動機でした。
五郎さんの、自らお客様のところに出向き、お客様の話をよく聞き、自分の意思決定だけで仕事を遂行し、その結果にこだわりすぎることなく、自分の好きな時間に、好きな場所で、好きなものを食べる、そういう姿に憧れたのでした。
五郎さんも(まれに商品を保管し、事務仕事をする事務所は登場しますが)事務所が絶対に必要な仕事をしていないじゃないか、ということで、私も事務所を閉めて、自宅を事務所にすることにしました。
結論
というわけで、自宅を事務所にしましたが、予想どおり、お問い合わせが減ることは全くなく、むしろご近所の方のお問い合わせが増えている、という状況です。(もっとも4年間の積み重ねがようやく実を結びつつあるとも言えるとは思います)
そういう意味で、「司法書士に事務所は要らない」というのが結論です。
こういうことも、いちどやってみなければ分かりません!
でも結果をおそれてなにも動かないのがいちばんよくないです。
今回は、若干判断が遅く、ちょっと損失を積みかさねてしまいましたが。。
(結局自宅でも仕事をするわけですから、家賃の他にも、電気代、駐車場代、事務用品、書籍(例えば六法)など、二重にかかるのは、負担が大きかったです。。)
ただし、裁判業務や債務整理、成年後見業務等を手掛けられる司法書士のかたは、「事務所と自宅は別にすべきだ」、というのはよく聞く話です。
ほとんどの弁護士さんが自宅を事務所にしないように、「ある当事者との対立構造」が想定される仕事においては、その相手方に自宅を表示するのは大変怖いことだと思います。