午後の部 本試験体験談5 記述式

最後は記述式です。

何度も記述式には撃沈されてきましたが、自分なりに学んだことは次の通りです。

①不登法では、即答できない論点にこだわって考え込まないこと。
平成28年度は、「調停調書へ執行文の付与を申し立てること」が問われましたが、これが分からず、頭が真っ白になって手が止まってしまいました。
細かいところは空欄にしても、枠ずれしないように、基本の登記申請欄を埋めていくことが何より大事と思います。
平成31年度は、(もちろん余裕が全く無かったからですが)「敷地権分の登録免許税の計算はしない」と判断できたことが良かったように思います。

②商登法では、無意識でも手が動くように、基本ひな形を直前期に頭に入れておくこと。
私の場合、平成31年度は、「みるみるわかる商業登記法」で、試験直前に、有限会社(これは出題されない気はしますが)、吸収合併株式交換吸収分割株式移転新設分割組織変更の登記申請例を何度も眺めていたおかげで、本当にスムーズに「吸収合併による変更」が(添付書面も含めて)書けたことが大きかったです。
平成30年度は「会社継続」、平成29年度は「本店移転」「解散」、平成28年度は「監査等委員会設置会社の定め設定」「吸収分割による変更」など、日ごろの練習が少なくなりがちなテーマが出題されています。今年度に何が出題されるか予想は難しいですが、出題可能性のある上記テーマなどを意識して頭に入れ直しておくと、本番に役立つかもしれません。

③そして試験終了の最後まであきらめないで手を動かすことです。先輩方、同期の方などの話を聞いても、過去に数点(1問分以下)で涙を飲み、そして合格年は最後の一筆の得点ですべりこんだ、というような話が非常に多いです。皆さんファイト!です。

前回試験の体験談(2019年7月本試験終了直後の旧ブログから転記)

→ 結果は、不登法25.5/35点、商登法19.5/35点でした。

今回の試験では、記述式に取り掛かれたのが、14時20分。マークシートの想定所要時間は60~70分にしていましたが、10分オーバー、しかも「合っている」という手応えの問題が少なく、久々に基準点も大丈夫?という不安感のなか、記述式スタートです。

そのような気分の中、あと100分で2問分の大量の問題用紙を読まなければならないのには、本当に気持ちが折れそうになりますが、折れた瞬間に負けが確定なので、「とにかく考えるのをやめるな。でも考え込むな。手を動かし続けろ。」という自分への言い聞かせの始まりです。

第一欄(1)
事前通知の手続き-文章はともかく内容はだいたいOKと思う。
他の方法ー資格者代理人による本人確認情報はOK、公証人によるものは書けず。

第2欄(1)所有権移転登記 OK
ただし、敷地権分の登録免許税は最初から計算しないと決めました。
敷地権の登免税の計算方法は、理解している受験生が多いだろうに、あせっている中で時間内に正確に計算できる能力だけを試しても仕方ないとも思いますが、私にはその能力はありません。

第2欄(2)持分全部移転登記 OK(敷地権分の登録免許税を除く)

第2欄(3)抵当権抹消登記 OK
添付情報一部間違え、敷地権の1つが賃借権であることが頭から抜けているので登免税も間違い。

第3欄 文章はともかく内容はだいたいOKと思う。

第4欄(1)根抵当権登記名義人住所変更登記 OK(登免税を除く)

第4欄(2)根抵当権極度額変更登記 OK

第4欄(3)所有権移転登記 OK(添付情報一部、敷地権分の登免税を除く)

第4欄(4)登記不要 OK

不登法記述式は、平成30年度の問題から、登記内容そのものは素直なものが多く、考えが止まることはありませんでしたが、「本当にこれでいいのか」と何度も何度も問題用紙のいろいろな個所を振り返ってみるので、思いのほか時間を要します。

普段の練習で、ノープレッシャーであれば、40分程度でできる仕事と思いますが、本番ではたっぷり60分使いました。残り40分で商登法です。
→もっともっとしんどくなります。

不登法の記述を終えて、残り40分です。
とにかく最後までがんばろう、と自分を励ますだけです。

始めに、
・白紙は点にならないので、最後まで解答欄を埋めることを第一目標とする。
・登記できない事項を考えこむ時間はないので、即時判断できないものは、登記できるものとして書く。
・不登法記述の手ごたえがまずまずなのが救い。何とか5割の点確保が目標。
と決めて、スタートです。

第1欄
株式の分割登記 OK

発行可能株式総数の変更 OK

吸収合併による変更登記 OK
→ 直前に「みるみるわかる商登法」を読んで、普段の練習では書く機会が意外と少ない、本店移転登記、有限会社の株式会社移行登記、吸収合併、株式交換、吸収分割、新設分割、組織変更の基本ひながたを振り返っていたのが良かった。
「自己株式には発行株式を割り当てないよな」という基本事項も、本番では何となく「本当に合っているのだろうか」と不安にはなりましたが。

代表取締役である取締役A死亡登記 OK
取締役H就任登記 ✖間違い
→議決権の数を慌てて計算し、登記できないと判断した。これは冷静でも間違えていたと思います。(相互保有株式?)

登免税 OK

添付書面
資本金の額の計上証明書、登録免許税に関する証明書
→問題文を読んでいるときは頭にあったが、書いた記憶なし。ほかにも細かいミスあると思います。

第2欄株主の氏名 ✖間違い

第3欄
取締役Fの辞任登記 ✖間違い
→帰宅した後、「自分は別紙13を全く読んでいない!」ことに気づきました。

取締役Bの退任登記 ✖間違い
事業年度の変更を考えることは、全く余裕なく、あきらめ。

その他役員、会計監査人の退任・就任登記 OK

「監査役の監査の範囲を限定する旨の定めの廃止」と書いた。△を期待。
→「会計に関するものに」を書く時間も惜しい状態。文字もどんどん汚くなっていく。。

登免税 OK

添付書面
定款、辞任届(Fの辞任登記を書いていないので当たり前ですが)が抜け、就任承諾書を区分けしてきちっと書けていない。

第4欄
文章はなっていないが、大会社になったので会計監査人設置義務が生じたことは書いたと思う。

ここで、試験時間終了。記名や受験番号の記入を振り返る余裕は全くなし→悲劇へ。

やはり、時間的なあせりが大きく、第2欄以降はメチャクチャになりかけています。
以前のブログで、6割の手ごたえと書きましたが、あらためて振り返ると、4~5割を何とか期待、というレベルだった。

今年の商登法記述式は、もりだくさんに色々なことを聞かれたな、という印象です。それを一つ一つ短時間で処理していくことが本当に大変で、やはり満足にできていない。