司法書士業務のための基礎・周辺知識

不動産登記や商業登記といった従来からの司法書士の基本業務を適切に行うために、また、業務の領域を広げて仕事を増やしていくためにも、司法書士試験知識の他に、様々な周辺知識と経験が必要となります。本当にいつまでも勉強なんだな、と思います。

ただ、業務をやりながらでも、自分の興味の範囲を狭めず、幅広く勉強して取り組んでいけば、本当に様々な業務に出会えそうで、楽しみな気持ちが持てそうです。

地区ブロック新人研修会において受講する基礎・周辺知識

①不動産登記に関する税の基礎知識
印紙税、登録免許税(租税特別措置法、評価証明書等)、相続税、贈与税、譲渡取得税、住民税等
→ 「税理士に相談しましょう」というのが基本だが、基礎知識は持っていないと依頼者への応対ができない。

②不動産登記に関する各種法令
都市計画法、建築基準法、農地法、土地区画整理法、宅建業法等
→ 上に同じで、基礎知識は持っていないと依頼者への応対ができない。

③表示登記の基礎知識
→ 司法書士と土地家屋調査士の両方の資格を有する方が相当数いらっしゃいますが、まさしく不動産登記のスペシャリスト、という感じですね。

④本人確認について(その意味合いと方法)
→ これをしっかりしないと、懲戒処分になると繰り返し教えられます。

⑤簡裁訴訟代理業務、執行手続きについての紹介

⑥遺言の作成と執行に関して

⑦遺産承継業務について
→ 相続人全員の依頼を受けて、被相続人の銀行口座の確認と引き出しを行うため銀行に出向く業務に同席させて頂いたことがあります。(配属研修)

⑧民事信託について
→ 今後の司法書士業務として、夢がありそうです。

⑨経済的困窮者の支援について
→ 過払い金請求のバブルも終わっており、自分の実務として取り組むかどうかは未定です。

⑩戸籍の集め方と読み方について
→ 昭和の初期頃から相続登記を怠っている土地を今登記しようとすると、ものすごい人数の相続人の戸籍謄本を集めて読み解く必要があります。これは、配属研修でも体験できますが、土地登記業務をしようと思ったら、避けては通れません。
依頼人の親族を含めた戸籍謄本は、「職務上請求書」を使って、司法書士が直接役所から取り寄せることができます。この職務上請求書を不動産登記以外の目的で悪用すると、確実に懲戒処分になると、繰り返し教えられます。

⑪登記にまつわる家事事件
→ 相続放棄の申述、遺言の検認、特別代理人選任申立て、遺産分割調停の申立てなどです。不登法などの試験勉強ではただの「文言」でしたが、実際に自分で行うようになるのですね。

⑫成年後見について
→ 成年後見人に就職された司法書士の方が、被成年後見人の方に初めての面会に行く際に、同行させて頂いたことがあります。(配属研修にて)

⑬不動産売買の立会業務(実習形式)
→ これも配属研修で複数回同席させて頂きました。
私の出身地の大阪では、売主側の司法書士と買主側の司法書士の両方が立ち会う、と聞いたことがありますが、現在住んでいる関東で開業しますので、一人の司法書士が売り主・買主両方の本人確認と手続きを行うパターンでのものです。