司法書士試験 民法は条文中心の出題に
近年の司法書士試験の民法の出題傾向
近年の民法の司法書士試験問題を見て感じることは、次のとおりです。
1)条文あるいは条文の知識から正解できる肢が多く、判例知識まで必要な肢は少ない。
また、判例等の知識が必要な肢があっても、条文の知識で判断できる肢で正解可能な場合が多い。
2)新しい規定や、改訂された規定については、「条文そのまま」が出題されることもある。
→ 上記により、全般に易しく感じる。特に、民法改正後にこの傾向が強くなったと思います。
→ 出題者の立場になって考えると、民法改正直後においては、条文を根拠に出題する方が出題ミスの心配をしなくて良い、ことが大きいように思います。
おすすめ民法学習方法
テキストを手掛かり、足掛かりにして、条文そのものを何度も読む!
1つの規定を学習したら、その規定をまとめて(例えば「無権代理」だったら113条~118条を)読む!
→ 同じ記憶をするにしても、「条文を根拠とした記憶」と「テキスト記述や表をベースとした記憶」では、本番試験においての即答力と正解力が大きく異なる!と思います。
令和5年度試験問題の実際
民法第4問~23問のうち、正解をするために条文以外の判例等の知識を要するのは、第7問、8問、16問、17問です。
(その判例も、特殊で皆が知らないものは少なく、全般の難易度は高くないと思います)
やはり、まずは条文の内容をしっかり身に着けることが効果的と思います。
ア ✖ 民法9条の理解
イ 〇 民法799条(738、764、812条も)の理解
ウ ✖ 民法876条の4の理解
エ 〇 民法11条の理解
オ 〇 民法15条の理解
ア ✖ 条文以外の知識要
イ ✖ 民法96条の理解
ウ 〇 民法125条の理解
エ 〇 民法96条の理解
オ ✖ 判例の知識要
→ イウエで正解可能
ア ✖ 民法114条の理解
イ ✖ 民法116条の理解
ウ 〇 民法117条の理解
エ 〇 民法113条の理解
オ ✖ 民法117条の理解
ア 〇 民法899条の2の理解
イ 〇 判例知識要
ウ ✖ 判例知識要
エ ✖ 判例知識要
オ 〇 判例知識要
→ 本問は、条文知識だけでは正解できない
ア 〇 判例知識要
イ ✖ 判例知識要
ウ 〇 民法211条そのまま
エ ✖ 判例知識要
オ ✖ 判例知識要
→ 本問は条文知識だけでは正解できない。
ア 〇 条文以外の知識要
イ 〇 民法243条そのまま
ウ ✖ 判例知識要
エ 〇 民法246条そのまま
オ ✖ 民法245条の理解
→ イオが判断できれば正解可能
ア ✖ 条文以前の常識レベル
イ 〇 民法258条の理解
ウ 〇 民法251条そのまま
エ ✖ 民法254条そのまま
オ ✖ 民法252条の理解
ア 〇 民法297条そのまま
イ ✖ 民法321条そのまま
ウ ✖ 民法346条そのまま
エ ✖ 民法358条、359条そのまま
オ 〇 不登法83条など。条文以前の常識レベルに近い
ア ✖ 民法300条そのまま
イ 〇 民法299条そのまま
ウ ✖ 民法298条そのまま
エ 〇 民法304条の理解
オ 〇 民法295条の理解
ア ✖ 民法336条そのまま
イ 〇 民法332条そのまま
ウ ✖ 民法335条そのまま
エ 〇 民法331条そのまま
オ 〇 民法340条そのまま
ア 〇 民法297条 → 民法350条で何が準用されているかは押さえる!
イ ✖ 民法344条の理解 → 現実の引き渡しでなくてもOK
ウ 〇 民法348条そのまま
エ ✖ 民法298条 → 民法350条で何が準用されているかは押さえる!
オ ✖ 判例知識要
→ オを判断しなくても正解可能
ア ✖ 民法398条の3そのまま
イ 〇 民法398条の4そのまま
ウ ✖ 民法398条の11そのまま
エ ✖ 民法398条の20そのまま
オ 〇 民法398条の22そのまま
ア 〇 民法412条そのまま
イ ✖ 難問→判断しなくてよい
ウ 〇 判例知識要
エ ✖ 判例知識要
オ ✖ 判例知識要
→ 本問は条文知識だけでは正解できない。
ア 〇 判例知識要
イ ✖ 判例知識要
ウ ✖ 判例知識要
エ 〇 民法423条の5そのまま
オ ✖ 民法423条の4そのまま
→ 本問は条文知識だけでは正解できない。
ア 〇 民法633条そのまま
イ ✖ 民法641条そのまま
ウ ✖ 民法642条そのまま
エ ✖ 民法636条そのまま
オ 〇 民法634条そのまま
ア 〇 民法644条の2そのまま
イ ✖ 民法650条そのまま
ウ 〇 難問。判例知識要。→ 判断する必要なし
エ ✖ 民法651条の理解
オ 〇 民法652条で準用される民法620条
ア ✖ 民法799条どおりだが、意外と難問 → 判断しない
イ ✖ 民法797条そのまま
ウ 〇 民法817条の5そのまま
エ ✖ 民法727条の理解
オ 〇 民法811条そのまま
ア 〇 民法839条そのまま
イ ✖ 民法840条そのまま
ウ ✖ 民法857条の2の理解
エ 〇 民法840条参照
オ ✖ 民法841条そのまま
ア ✖ 民法931条そのまま
イ 〇 民法935条そのまま
ウ 〇 民法936条そのまま
エ 〇 民法929条、930条そのまま
オ ✖ 民法937条そのまま
ア 〇 判例知識要
イ ✖ 民法975条そのまま
ウ ✖ 民法986条そのまま
エ ✖ 民法971条そのまま
オ 〇 民法976条そのまま
→ アを判断しなくても正解可能