認定考査の第2問、第3問研究(後半)

今回は後半です。
実際の試験では、解答を「業務を行い得ない事件」、「利害が相反する」、「協議を受けて賛助した事件」、「自ら代理人として手続きに関与した事件」などのキーフレーズを混ぜて、100~200字程度の文章にする必要があります。
司法書士法〇条、司法書士倫理〇条などの条文番号を覚える必要はないと思いますが。

第11回認定考査

第2問
X→Yの訴訟において、Y→Xの訴額150万円の反訴があった。Xの代理人司法書士A。
①反訴に応訴することに特別の委任を受ける必要は?(訴訟代理人一般論として)
②反訴に関する訴訟行為はできるか?

解答①:反訴への応訴に特別の委任は不要。
解答②:できない。訴額140万円を超えるから。

第3問
X→Yの訴訟。A→Xの債権譲渡が裁判の対象となっている。
①過去にA→Yの所有権移転登記申請をしたことがある
②Y→Aの訴訟の訴状を作成したことがある(訴訟は終了)
司法書士Bは、Xの訴訟代理人になれるか?

解答①:なれる。
解答②:なれる。過去の事件の場合、違反とはいえないが、公正を保ち得ない事由がありそうなときは受任すべきでない。

第12回認定考査

第2問
X→Yの訴訟(訴額100万円)。Xより請求金額を60万円追加してほしいと依頼を受けた代理人司法書士Aができる訴訟行為とその可否?

解答:訴えの変更が考えられるが、訴額が160万円となるのでAは訴訟行為ができない。

第3問
X→A(不法行為者)、Y(保証人)の併合訴訟。Yの代理人Bは、Aの代理人にもなれるか?

解答:なれるが、将来の求償などでの対立の顕在化→双方の代理人辞任などの可能性を十分に説明要。

第13回認定考査

第2問
X→Yの訴訟(訴額100万円)。Yの代理人司法書士Bは、争いのある150万円の反対債権で相殺の抗弁を提出できるか?

解答:できない。紛争性のある150万円の債権で争うことは簡裁訴訟代理権の範囲を超える。

第3問
X→Yの訴訟 。A司法書士・B司法書士事務所は共同事務所。
法律相談会で、Xが本事件についてAに具体的に相談していた。BはYの代理人になれるか?

なれない。業務の公正を保ち得る事由(具体的には?)がない限りダメ(司法書士倫理82条)。

第14回認定考査

第2問
X→Yの訴訟。Xの代理人司法書士A、Yの代理人司法書士B。Xの請求が全面に認容される判決。
①Bは特別な委任を受ければ控訴できるか?
②Aは強制執行の申立てができるか?

解答①:控訴の提起はできる。控訴審の手続きはダメ(地裁なので)。
解答②:できない。少額訴訟債権執行を除き、司法書士は民事執行を代理できない。

第3問
X→Yの訴訟。Xの代理人司法書士A 。
訴訟係属中に、Y→訴外ZのYの代理人にもなれるか?

解答:Xの同意があればなれる。

第15回認定考査

第2問
X→Y 300万円返還請求したい。Yは死亡し、相続人A、B、C。
①Xは誰を被告として、どのような訴訟を提起できるか?
②司法書士はXを代理できるか?

解答①:ABCを共同被告として300万円を請求する訴訟 or 各A、B,Cを被告として各別に100万円を請求する訴訟。
解答②:司法書士が代理できるという理由だけで、上記各別の訴額100万円の訴訟を提起すべきではない(品位保持義務違反)。

第3問
X→Y 抵当権抹消登記手続き請求訴訟。A死亡し、X、B、Cが相続人。(Xが保存行為として1人で訴訟)
Yは被担保債権がまだ弁済されていないとして争っている。
司法書士Dが、訴訟前に、Xの依頼で抵当権実行禁止の仮処分の申立書を作成した。
①Dは、Y→Xの貸金返還請求訴訟のYの代理人になれるか?
②Dは、Y→Bの 貸金返還請求訴訟のYの代理人になれるか?

解答①:裁判書類作成業務をした事件で、相手方の代理人になることはできない。
解答②:「相手方」には直接該当しないが、対立構造は①と同じである。代理人になるべきではない。

第16回認定考査

第2問
X→Yの訴訟。土地明渡し請求の他に、損害賠償金150万円を請求したい。
①損害賠償金訴訟を別訴で提起する場合。司法書士AはXを代理できるか?
②損害賠償請求を上記訴訟の附帯請求とする場合、AはXを代理できるか?

解答①:できない。訴額140万円を超えるから。
解答②:できる。(土地明渡しの訴額に附帯請求の価額は加算されないから)

第3問
X→Yの訴訟。Xの代理人司法書士法人Qの担当司法書士A。
Xの請求棄却の判決が確定。Aは法人を退社して独立した。
Y→Xの所有権移転登記訴訟(前事件と関連あり)のYの代理人にAはなれるか?

解答:できない。法人所属期間中に自ら簡裁訴訟代理や裁判書類作成業務をした事件については、相手方の代理人になることはできない。前事件は確定しているが関連のある後行の訴訟事件でも同じである。

第17回認定考査

第2問
X→Y、Z(無権代理人) 売買契約に基づく土地引渡請求。
①Y,Zへの請求の判断が別々にならないようにするための訴訟行為は?
②Zが行方不明のときに採る送達方法?と請求原因事実の立証要否?
③150万円の反対債権での相殺の抗弁の提出可否?(代理人は司法書士)

解答① 同時審判の申出。
解答② 公示送達。擬制自白が成立しないので、顕著な事実以外は立証を要する。
解答③ 反対債権に紛争がある場合は、司法書士が相殺の抗弁の訴訟行為の代理はできない。

第3問
X→Y、Z(無権代理人) 。
Yの代理人司法書士Aは、本事件に関するZの裁判書類作成業務を受任できるか?
なお、YとZ間には明らかに対立がある。

解答:できない。利害相反関係のある事件の受任は司法書士倫理上できない。

第18回認定考査

第2問(この回は特殊で、債務不存在確認の訴えが出題された)
Y→Xの債務が存在しないことの確認を求める訴え
①請求の趣旨?
②請求原因?
③X→Yの債務履行請求訴訟が反訴で提起された場合、本訴訟はどうなるか?
④③の訴額が150万円であった場合、Yの代理人司法書士Aは反訴状の送達を受けられるか?

解答①:Yは、YX間の〇年〇月〇日の〇〇契約に基づく〇〇債務が存在しないことを確認する、との判決を求める。
解答②:Xは 、YX間の〇年〇月〇日の〇〇契約に基づく〇〇請求権が存在すると主張している。
解答③:確認の利益を欠くことになり、判決で却下される。
解答④:送達を受けられない。

第3問
X→Yの訴訟係属前、無料相談会で司法書士Aが本事件についてYから具体的な相談を受け教示をしていた。
①Aは、Xの訴訟代理人になれるか?
②AとBは2人で共同事務所を営んでいる。BはXの訴訟代理人になれるか?

解答①:なれない。相手方と具体的に協議し、賛助した事件である。
解答②:なれない。他の所属司法書士が業務を行い得ない事件については、公正を保ち得る事由がない限り(ふつうはない)、依頼を受けられない。

第19回認定考査

第2問
X→Yの訴訟。Xの代理人司法書士A。Xの請求が棄却される判決が出た。
①Aは、Xから特別の委任を受けて控訴の提起ができるか?
②Aは、控訴審で攻撃防御方法を記載した準備書面を提出したい。どのように関与できるか?

解答①:できる。
解答②:準備書面の作成をして、X本人の提出を支援する。(訴訟代理でなく、本人裁判支援)

第3問
X→Yの訴訟。Yの無権代理人としてZがいる。Xの代理人司法書士A。
Aは、Y→Zの無権代理人の責任追及する訴状作成の依頼を受けられるか?

解答:受けられない。Xの同意があったとしても、基礎を共通とする事件であり、別の事件とはいえない。