認定考査 過去問で問われた要件事実
少し時期を外していますが、経験をまとめます。
認定考査(第1問:要件事実論)対策方法
①新問題研究 要件事実(司法研修所編)を2~3回以上通読する。
事例方式になっていて大変読み易く、コンパクトです。比較的短時間で、複数回の通読が可能です。
これで、自分なりに、訴訟物、請求の趣旨、請求原因の要件事実、要件事実の認否、抗弁の要件事実について、「おそらくこういうものだろうな」という程度につかみます。(人に正確に説明できるほど、深い理解をすることは本当に難しいと思います)
②特別研修教材や、過去20回の過去問を題材にして、要件事実を具体的に書き出す練習をする。
試験でないので、雑にメモ書きでOKです。評価根拠事実もいちいち書き出さないでいいと思います。
③このとき、(残念ながら①には記載されていないテーマがあるので)、要件事実の考え方と実務(加藤新太郎編著)の該当テーマ部分だけを読んで確認します。
※分厚いので、通読するのはきついです。認定考査を離れてじっくり読みたい本です。
※私は購入できませんでしたが、認定司法書士への道でも、もちろん良いと思います。
④要件事実を各パターンで丸暗記しようとするのはつらい勉強ですが、②の練習をコツコツしていると
・消費貸借に基づく貸金返還請求の場合は、〇年〇月〇日は到来した、遅延損害金請求の場合は、〇年〇月〇日は経過した、になる、とか
・同時履行の抗弁は、通常は相手方の主張を待てば良いが、相殺しようとする場合は、自分から先に相手方の主張を封ずる事実の主張を要す、とか
が、あまり意識せずに自然と手が動くようになります。(本当に頭で深く理解しているわけではありませんが。。)
結論として、必死に理解したり、暗記したりしようとするよりも、手を動かして慣れよう、ということでした。
認定考査で問われた要件事実
売買(代金請求、遅延損害金請求)
消費貸借(貸金返還請求、利息請求、遅延損害金請求)
代理(有権代理、表見代理、無権代理の追認)
保証債務履行請求
消滅時効(時効の完成猶予、時効の更新なども)
賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求(期間終了、無断転貸、用法違反、賃料不払い)、賃料請求、損害賠償請求
所有権に基づく目的物返還請求
所有権に基づく抵当権抹消登記請求
抵当権設定登記を保持する権原がある
即時取得
弁済
受領権者としての外観を有する者に対する弁済
相殺
相続
請負契約に基づく報酬請求
債権譲渡
不法行為に基づく損害賠償請求
代物弁済
契約不適合に基づく契約解除
など
第1回認定考査では、売買の要件事実を1つ書かされただけだったのには少しびっくりしますが、近年では、上記を2つくらい組み合わせて、請求原因も複数、抗弁も複数、書く必要があることが多いです。
例えば、今年(第20回)は、第3回と第5回を複合して、さらに相続も加えて、出題されています。
過去問をしっかりやることが、何よりの対策となります。
過去問での要件事実記載例
※決して「正解例」ではないと思いますが、合格点は取れているのではないでしょうか。
※できるだけ現在施行されている法令に引き直しています(例:商事時効の廃止、契約不適合責任など)が、完全ではないです。
第1回
請求原因(売買代金請求)
① Xは、〇年〇月〇日、Yに腕時計を60万円で売った。
第2回
請求原因((貸金債務の)保証債務履行請求)
① XとZは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
貸金:40万円、弁済期:定めない
② Xは、同日、Zに、①に基づき、40万円を交付した。
③ Yは、〇年〇月〇日 、Xに、①の債務を保証した。
④ ③は書面によりなされた。
⑤ Xは、〇年〇月〇日、Zに、①の貸金の返還を求めた。
⑥ ⑤から相当期間が経過した。
抗弁(主たる債務の消滅時効)
1⃣ 〇年〇月〇日 は経過した。
2⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xに、時効援用の意思表示をした。
再抗弁(時効の完成猶予)
⓵ Xは、〇年〇月〇日、Zに貸金返還の催告をした。
⓶ Xは、〇年〇月〇日(⓵から6月以内)、本件訴えを提起した。
第3回
請求原因(賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:期間満了)
① XとYは、〇年〇月〇日、本件建物につき次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:1か月10万円、期間:〇年〇月〇日まで
② Xは、同日、Yに、①に基づき、本件建物を引き渡した。
③ 〇年〇月〇日(期間終了日)は経過した。
④ Xは、〇年〇月〇日(③の6月以上前)、Yに、契約解除の意思表示をした。
⑤ 契約解除が正当である評価根拠事実(具体的に列挙する)
抗弁1(正当事由の評価障害事実)
1⃣ 評価障害事実を具体的に列挙する
抗弁2(建物使用継続による法定更新)
1⃣’ Yは、③の後も、本件建物を継続使用している。
第4回
請求原因(売買(代理)代金請求、遅延損害賠償請求)
① Xは、〇年〇月〇日、Aに、本件絵画を130万円で売った。
② Aは、①の際、Yのためにすることを示した。
③ Yは、〇年〇月〇日、Aに①の代理権を与えた。
→ 代金請求のためなら、①~③の主張だけで良い
④ ①において、代金支払期日を〇年〇月〇日と定めた。
⑤ Xは、①の日に、Aに、本件絵画を引き渡した。
⑥ ④の日は経過した。
→ 遅延損害金請求のため、④~⑥の主張を要する。
抗弁1(代理権消滅)
1⃣ Yは、〇年〇月〇日、③の委任契約を解除した。
抗弁2(消滅時効)
1⃣’ 〇年〇月〇日は経過した。
2⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、時効援用の意思表示をした。
第5回
請求原因( 賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:無断転貸 )
① XとYは、〇年〇月〇日、本件建物について次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:1か月7万円、期間:〇年〇月〇日まで
② Xは、〇年〇月〇日、Yに、①に基づき、本件建物を引き渡した。
③ YとZは、 〇年〇月〇日、本件建物について次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:3万円、期間:定めない
④ Yは、〇年〇月〇日、Zに、③に基づき、本件建物を使用させた。
⑤ Xは、〇年〇月〇日、Yに、①の契約を解除する意思表示をした。
抗弁1(承諾があったとの抗弁)
1⃣ Xは、〇年〇月〇日、③の契約を承諾した。
抗弁2(非背信性の評価根拠事実)
1⃣’ 非背信性の評価根拠事実(具体的に列挙する)
再抗弁(抗弁2に対し、背信性の評価根拠事実)
⓵’ 背信性の評価根拠事実 (具体的に列挙する)
第6回
請求原因(所有権に基づく返還請求)
① Xは、〇年〇月〇日(Yが認めている日まで)当時、本件絵画を所有していた。
② Yは、本件絵画を占有している。
抗弁1(有権代理で買ったとの抗弁)
1⃣ Yは、〇年〇月〇日、Bから本件絵画を100万円で買った。
2⃣ Bは、1⃣の際、Xのためにすることを示した。
3⃣ Xは、〇年〇月〇日(1⃣に先立つ日)、Bに、1⃣の代理権を与えた。
抗弁2(表見代理が成立するとの抗弁)
1⃣’ 1⃣、2⃣に同じ
2⃣’ Yは、1⃣の際、Bに代理権があると信じた。
3⃣’ 2⃣’と信じたことに対し、過失がないことの評価根拠事実(具体的に列挙)
抗弁3(即時取得が成立するとの抗弁)
1⃣’’ 1⃣、2⃣、3⃣に同じ(取引行為)
2⃣’’ Bは、〇年〇月〇日、Yに本件絵画を引き渡した。(占有の取得)
第7回
請求原因((貸金債務の)保証債務の履行請求)
① XとZは、〇年〇月〇日、次の金銭消費貸借契約を結んだ。
元金:60万円、弁済期:〇年〇月〇日、損害金:年1割
→ 保証債務は損害金を含むので、損害金の約定も主張する
② Xは、同日、Zに、①に基づき60万円を交付した。
③ 〇年〇月〇日(弁済期)が経過した。
④ Yは、〇年〇月〇日、Xに、①の債務を保証した。
⑤ ④は書面によってなされた。
抗弁1(通謀虚偽表示であるとの抗弁)
1⃣ XとZは、④の契約が事実のように虚偽の表示をした。
抗弁2(弁済したとの抗弁)
1⃣’ Zは、〇年〇月〇日、Xに60万円を支払った。
2⃣’ 1⃣’は、①の債務の弁済としてした。
第8回
請求原因(所有権に基づく抵当権抹消登記請求)
① Xは、本件建物を所有している。
② 本件建物について、Y名義の抵当権設定登記がある。
抗弁(登記を保持する権原があるとの抗弁)
1⃣ XとYは、〇年〇月〇日、次の金銭消費貸借契約を結んだ。
元金100万円、弁済期〇年〇月〇日
2⃣ Yは、同日、Xに1⃣に基づき、100万円を交付した。
3⃣ XとYは、 1⃣の債務を担保するため、本件建物に抵当権を設定する合意をした。
4⃣ Xは、3⃣の当時、本件建物を所有していた。
5⃣ ②の登記は、3⃣の契約に基づくものである。
再抗弁1(弁済により抵当権は消滅したとの再抗弁)
⓵ Xは、〇年〇月〇日、Yに100万円を支払った。
⓶ ⓵は、1⃣の債務の履行としてした。
再抗弁2(相殺により抵当権は消滅したとの再抗弁)
⓵’ Xは、〇年〇月〇日、Yにヴァイオリンを120万円で売った。
⓶’ Xは、同日、Yにヴァイオリンを引き渡した。
→ 相殺の場合は、同時履行の抗弁を封ずるために、先行しての主張を要する。
⓷’ Xは、〇年〇月〇日、Yに、相殺の意思表示をした。
第9回
請求原因(請負契約に基づく報酬請求、遅延損害金請求を含む)
① XとYは、〇年〇月〇日、次の請負契約を結んだ。
本件マンションのリフォーム工事、報酬額100万円
② Xは、〇年〇月〇日、①の仕事を完成させた。
③ Xは、〇年〇月〇日、Yに、本件マンションを引き渡した。
→ 遅延損害金請求のため主張を要する。
抗弁1(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
1⃣ Yは、〇年〇月〇日、Aに①の報酬100万円を支払った。
2⃣ Aは、1⃣の際、受領権限があると言った。
3⃣ Yは、2⃣を信用した。
4⃣ Yが3⃣に際し、無過失であることの評価根拠事実(具体的に列挙する)
抗弁2(契約不適合による履行の追完請求との同時履行の抗弁)
1⃣’ 浴室の換気が悪くなかなか乾燥しない(契約不適合の具体的事実)
2⃣’ Yは、〇年〇月〇日、1⃣’の履行の追完請求をした。
3⃣’ Yは、1⃣’の履行の追完がされるまで、報酬の支払いを拒絶する。
再抗弁1(抗弁1に対して無過失の評価を障害する事実)
⓵ Yが3⃣に際し、過失があることの評価根拠事実(具体的に列挙する)
再抗弁2(抗弁2に対して注文者の指図によるものとの再抗弁)
⓵’ 1⃣’の契約不適合は、Yがメーカーを指定したことによって起こった。
第10回
請求原因(賃貸借契約の終了に基づく建物明渡し、賃料請求、損害賠償請求)
① XとYは、〇年〇月〇日、本件建物につき、次の賃貸借契約を結んだ。
期間:〇年〇月〇日まで、賃料:月15万円、
特約:2月以上の連続賃料不払いで、無催告解除できる
→ 無催告解除の場合は、その特約の存在を主張する
② Xは、〇年〇月〇日、Yに、①に基づき本件建物を引き渡した
③ 〇年〇月~〇年〇月の各月の末日(賃料支払期日)は経過した。
④ Yは、半年に渡って賃料を支払わない。(無催告解除のための背信性の主張)
⑤ Xは、〇年〇月〇日、Yに、①の契約を解除する意思表示をした。
→ ①~⑤は、建物明渡請求(主たる請求)のためのもの
⑥ 〇年〇月~〇年〇月の各月の末日(契約解除後の日も含めて)は経過した。
⑦ 本件建物の賃料相当額は15万円である。(損害賠償の範囲)
→ ⑥、⑦は、賃料および損害賠償請求(附帯請求)のために主張を要する。
抗弁1(免除の抗弁)
1⃣ Xは、〇年〇月〇日、Yの支出した雨漏り修繕費用分の賃料を免除するとの意思表示をした。
抗弁2(相殺の抗弁)
1⃣’ Yは、〇年〇月〇日、雨漏り修繕費用で90万円を支出した。
2⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、1⃣’の支出と賃料債務とを相殺する意思表示をした。
再抗弁1(抗弁2に対し)
⓵’ XとYは、①の契約の際、修繕費用は借主の負担とする合意をした。
第11回
請求原因(消費貸借契約(債権譲渡あり)に基づく貸金返還請求、利息請求も含む)
① AとYは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
元金:100万円、弁済期:3か月後、利息:3か月で2万5000円
→ 利息は約定がなければ請求できない。約定があることを主張する。
② Aは、同日、①に基づきYに100万円を交付した。
③ Aは、〇年〇月〇日、Xに①の債権を98万円で売った。
④ 〇年〇月〇日(弁済期)は到来した。
抗弁1(債権譲渡禁止特約があるとの抗弁)
1⃣ YとAは、①の際、債権譲渡を禁止する合意をした。
2⃣ Xは、③の際、1⃣の合意を知っていた。
抗弁2(債権譲渡の対抗要件を権利主張する)
1⃣’ AがYに通知し、またはYが承諾するまで、Xを債権者と認めない。
抗弁3(代物弁済をしたとの抗弁)
1⃣’’ AとYは、〇年〇月〇日、①の弁済に代えて、壺の所有権を移転する合意をした。
2⃣’’ Yは1⃣’’の当時、壺を所有していた。
3⃣’’ Yは、同日、2⃣’’に基づき、壺をAに引き渡した。
再抗弁2(抗弁2に対して)
⓵’ Aは、〇年〇月〇日、Yに、③の債権譲渡を通知した。
再抗弁3(抗弁3に対して)
⓵’’ Aは、〇年〇月〇日(代物弁済に先立つ日)、Yに、③の債権譲渡を通知した。
第12回
請求原因((不法行為損害賠償の)保証契約に基づく保証債務履行請求)
① Xは自動車を所有していた。
② Aは、〇年〇月〇日、①の自動車に自分の自動車をぶつけた。
③ ②がAの過失によることの評価根拠事実(具体的に記載)
④ 修理費用は100万円であった。
⑤ ④の損害はAの②の行為で生じた。
⑥ Yは、〇年〇月〇日、Xに、Aの上記債務を保証した。
⑦ ⑥の契約は書面でおこなった。
抗弁1(消滅時効)
1⃣ 〇年〇月〇日は経過した。
2⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xに消滅時効を援用する意思表示をした。
抗弁2(過失相殺)
1⃣’ Xにも、②の際に、過失があった評価根拠事実(具体的に記載)
再抗弁(抗弁1に対して債務の承認により時効の更新があったとの再抗弁)
⓵ Yは、〇年〇月〇日、債務を承認した。
第13回
請求原因(売買契約(代理行為)に基づく代金支払い請求)
① Xは、〇年〇月〇日、Aに、彫刻像を50万円で売った。
② Aは、①の際、Yのためにすることを示した。
③ Yは、〇年〇月〇日(①に先立つ日)、Aに、①の代理権を与えた。
抗弁1(同時履行の抗弁)
1⃣ Yは、Xが彫刻像を引き渡すまで、代金の支払いを拒絶する。
抗弁2(契約を解除したとの抗弁)
1⃣’ ①の契約において、代金は彫刻像を引き渡した後5日以内に支払う合意がある。(代金後払いの約定がある)
2⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、彫刻像の引き渡しを催告した。
3⃣’ 2⃣’から相当期間が経過した。
4⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、①の契約を解除する意思表示をした。
抗弁3(消費貸借契約の貸金債権と相殺するとの抗弁)
1⃣” XとYは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
元金:100万円、弁済期日:〇年〇月〇日
2⃣” Yは、同日、1⃣’’に基づき、Xに、100万円を交付した。
3⃣” 〇年〇月〇日(弁済期)は到来した。
4⃣” Yは、〇年〇月〇日、Xに、相殺の意思表示をした。
再抗弁1(抗弁1に対して)
⓵ Xは、〇年〇月〇日、Aに、彫刻像を引き渡した。
再抗弁2(抗弁2に対して)
⓵’ Xは、〇年〇月〇日、Aに、彫刻像を引き渡した。
再抗弁3(抗弁3に対して代物弁済したとの再抗弁)
⓵” XとYは、〇年〇月〇日、1⃣”の弁済に代えて、掛け軸の所有権を移転する合意をした。
⓶” Xは、⓵”の当時、掛け軸を所有していた。
⓷” Xは、同日、Yに、⓵”に基づき掛け軸を引き渡した。
第14回
請求原因1(賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:用法違反)
① XとYは、〇年〇月〇日、甲建物について次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:月5万円、期間:3年間
② ①の契約において、居住用として使用する特約がある。
③ Xは、〇年〇月〇日、Yに、①に基づき甲建物を引き渡した。
④ Yは、甲建物をリフォームし、ペットホテルとして使用した。
⑤ Xは、〇年〇月〇日、Yに、①の契約を解除する意思表示をした。
請求原因2 (賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:賃料不払い)
①’ ①、③、⑤と同じ
②’ ①の契約において、前月末日に当月分の賃料を支払う合意がある。
③’ ○年○月~同年〇月までの各末日は経過した。
④’ Xは、〇年〇月〇日、Yに、賃料の支払いを催告した。
抗弁1(請求原因1に対して承諾があったとの抗弁)
1⃣ Xは、〇年〇月〇日、Yに対し、ペットホテルとして使用することを承諾した。
抗弁2(請求原因2に対して、支払いの猶予があったとの抗弁)
1⃣’ Xは、〇年〇月〇日、Yに対し、〇年〇月~同年〇月の賃料の支払いを〇年〇月〇日まで猶予した。
第15回
請求原因(所有権(相続あり)に基づく抵当権抹消登記請求)
① Aは、〇年〇月〇日(Yが認めている日まで)当時、 甲建物を所有していた。
② Aは、〇年〇月〇日、死亡した。
③ Xは、Aの子である。
④ 甲建物について、Y名義の抵当権設定登記がある。
抗弁1(Aは所有権を喪失しているとの抗弁)
1⃣ Aは、〇年〇月〇日、Dに、甲建物を300万円で売った。
抗弁2(抵当権設定登記を保持する権原があるとの抗弁)
1⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Aに、弁済期を定めず120万円を貸し渡した。
2⃣’ YとAは、1⃣’の債務を担保するため、甲建物に抵当権を設定する合意をした。
3⃣’ Aは、2⃣’の当時、甲建物を所有していた。
4⃣’ ④の登記は、2⃣’の契約に基づく。
再抗弁1(抗弁1に対して、売買契約を解除したとの再抗弁)
⓵ Aは、〇年〇月〇日、Dに、甲建物を300万円で売った。
⓶ XとDは、〇年〇月〇日、⓵の契約を合意解除した。
⓷ Xは、⓶の際、Aのためにすることを示した。
⓸ Aは、⓶に先立って、Xに契約解除の代理権を与えた。
再抗弁2(抗弁2に対して、弁済したとの再抗弁)
⓵’ Aは、〇年〇月〇日、Yに、1⃣’の債務の履行として30万円を支払った。
⓶’ Aは、〇年〇月〇日、Yに、1⃣’の債務の履行として90万円を支払った。
第16回
請求原因(所有権(相続あり)に基づく、土地明渡請求)
① Aは、〇年〇月〇日(Yが認めている日まで)当時、 甲土地を所有していた。
② Aは、〇年〇月〇日、死亡した。
③ Xは、Aの子である。
④ Yは、甲土地を占有している。
抗弁1(代物弁済によりAは所有権を喪失しているとの抗弁)
1⃣ BとAは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
元金:140万円、弁済期:〇年〇月〇日
2⃣ Bは、同日、Aに、1⃣に基づき140万円を交付した。
3⃣ AとBは、〇年〇月〇日、1⃣の弁済に代えて、甲土地の所有権を移転する合意をした。
4⃣ Aは、3⃣の当時、甲土地を所有していた。
抗弁2(賃借権があるとの抗弁)
1⃣’ AとBは、〇年〇月〇日、甲土地につき、次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:月2万5000円、期間:定めていない
2⃣’ Aは、同日、Bに、1⃣’に基づき、甲土地を引き渡した。
3⃣’ Bは、〇年〇月〇日、死亡した。
4⃣’ Yは、Bの子である。
再抗弁1(抗弁2に対し、無断転貸による解除の再抗弁)
⓵’ BとCは、〇年〇月〇日、甲土地につき次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:月3万円、期間:定めていない
⓶’ Bは、同日、Cに、⓵’に基づき甲土地を引き渡して使用させた。
⓷’ Aは、〇年〇月〇日、Bに、1⃣’の契約を解除する意思表示をした。
再抗弁2(抗弁2に対し、賃貸借契約の期間が満了しているとの抗弁)
→ これは、抗弁ではなく、1⃣’の否認ではないかとの疑問あり?
⓵’ AとBは、〇年〇月〇日、甲土地につき、次の賃貸借契約を結んだ。
賃料:月2万5000円、期間:〇年〇月〇日まで
⓶’ 〇年〇月〇日(上記期間満了日)は、経過した。
第17回
請求原因1(売買契約に基づく土地引渡請求:有権代理)
① Xは、〇年〇月〇日、Zから、甲土地を50万円で買った。
② Zは、①の際、Yのためにすることを示した。
③ Yは、〇年〇月〇日(①に先立つ日)、Zに①の代理権を与えた。
請求原因2(売買契約に基づく土地引渡請求:表見代理)
①’ ①、②に同じ。
②’ Xは、①の際、Zが売買の代理権を持つことを信じた。
③’ ②’について過失がないことの評価根拠事実(具体的に)
④’ Yは、 〇年〇月〇日(①に先立つ日)、Zに、賃貸の代理権を与えた。
請求原因3(売買契約に基づく土地引渡請求:無権代理行為の追認)
①” ①、②に同じ。
②” Yは、〇年〇月〇日、Xに、①の契約を認める意思表示をした。
抗弁1(請求原因1、3に対し、同時履行の抗弁)
1⃣ Yは、Xが50万円を支払うまでは、甲土地の引き渡しを拒絶する。
抗弁2(請求原因2に対し、Xに過失があるとの抗弁)
1⃣’ ②’の際、Xに過失があったことの評価根拠事実(具体的に列挙する)
再抗弁(同時履行の抗弁に対して、一部代金は支払い済み、残金は相殺するとの再抗弁)
⓵ Xは、〇年〇月〇日、Yに対し、25万円を支払った。
⓶ ⓵は、①の代金の一部としてした。
⓷ Xは、〇年〇月〇日、Aに、丙絵画を30万円で売った。
⓸ Xは、同日、Aに、丙絵画を引き渡した。
→ 相殺の場合、相手方の抗弁を封ずるために先に主張する必要あり。
⓹ Aは、〇年〇月〇日、死亡した。
⓺ Yは、Aの子である。
⓻ Xは、〇年〇月〇日、Yに、相殺の意思表示をした。
第18回
請求原因(保証契約(売買代金債務について)に基づく保証債務履行請求)
① Xは、〇年〇月〇日、Aに、甲時計を40万円で売った。
② ①の契約では、代金支払期日を〇年〇月〇日とした。
③ ①の契約では、損害金を年1割とした。
④ Xは、〇年〇月〇日、Aに、甲時計を引き渡した。
⑤ 〇年〇月〇日(支払期日)は経過した。
→ 保証債務請求は損害金請求を含むため、②~⑤の主張を要する。代金請求なら①だけで良い。
⑥ Yは、①の日に、Aの債務を保証した。
⑦ ⑥の契約は、書面でした。
抗弁1(消滅時効の抗弁)
1⃣ 〇年〇月〇日は経過した。
2⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xに、時効を援用する意思表示をした。
抗弁2(相殺の抗弁)
1⃣’ BとXは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
元金:60万円、弁済期:〇年〇月〇日
2⃣’ Bは、同日、Xに、1⃣’に基づき、60万円を交付した。
3⃣’ 〇年〇月〇日(弁済期)は到来した。
4⃣’ Bは、〇年〇月〇日、Yに、1⃣’の債権を50万円で売った。
5⃣’ Bは、〇年〇月〇日、Xに、4⃣’の事実を通知した。
→ 通常は相手方の再抗弁となるが、相殺の場合は先に主張を要する。
6⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、相殺の意思表示をした。
再抗弁1(抗弁1に対し、債務の承認による時効の更新があったとの抗弁)
⓵ Aは、〇年〇月〇日、①の債務を承認した。
再抗弁2(抗弁2に対し、債権譲渡禁止特約について悪意だったとの抗弁)
⓵’ Xは、1⃣’の契約の際、債権譲渡を禁止する合意をした。
⓶’ Yは、4⃣’の際、債権譲渡禁止特約を知っていた。
第19回
請求原因(売買契約に基づく代金支払請求)
① Xは、〇年〇月〇日、Yに、甲中古車を50万円で売った。
抗弁1(契約不適合に基づく解除をしたとの抗弁)
1⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xから、甲中古車の引き渡しを受けた。
2⃣ 甲中古車の品質について、契約不適合であることの評価根拠事実(具体的に列挙する)
3⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xに、甲中古車の修理をするように催告した。
4⃣ 3⃣の日から、相当期間が経過した。
5⃣ Yは、〇年〇月〇日、Xに、①の契約を解除する意思表示をした。
抗弁2(相殺の抗弁)
1⃣’ YとAは、〇年〇月〇日、次の消費貸借契約を結んだ。
元金30万円、弁済期:〇年〇月〇日
2⃣’ Yは、同日、Aに、1⃣’に基づき、30万円を交付した。
3⃣’ Aは、1⃣’の際、Xのためにすることを示した。
4⃣’ Xは、〇年〇月〇日(1⃣’に先立つ日)、Aに1⃣’の代理権を与えた。
5⃣’ 〇年〇月〇日(弁済期)は到来した。
6⃣’ Yは、〇年〇月〇日、Xに、相殺の意思表示をした。
再抗弁1(抗弁2に対して、代理権濫用を知っていたとの再抗弁)
⓵’ Aは、自身の利益のため、30万円を借りる意思表示をした。
⓶’ Yは、1⃣’の際、⓵’の事実を知っていた。
再抗弁2(抗弁2に対して、代理権濫用を知ることができたとの再抗弁)
⓵’ Aは、自身の利益のため、30万円を借りる意思表示をした。
⓶’ Yは、1⃣’の際、⓵’の事実を知ることができた評価根拠事実(具体的に列挙する)
再再抗弁1(再抗弁2に対して、知ることができたことを障害する評価根拠事実)
Yは、1⃣’の際、⓵’の事実を知ることができなかった評価根拠事実(具体的に列挙する)
第20回
請求原因1(賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:期間の終了)
① AとYは、令和2年4月1日、甲建物について、下記賃貸借契約を結んだ。
賃料1か月15万円、期間:令和2年4月1日~令和3年9月末日
② Aは、令和2年4月2日、①に基づきYに甲建物を引き渡した。
③ Aは、令和2年10月1日に死亡した。
④ XはAの子である。
⑤ Xは、令和3年3月3日、Yに①の契約を更新しない意思表示をした。
⑥ 令和3年9月末日は経過した。
⑦ Xが契約を解除する理由が正当である評価根拠事実(具体的に列挙します)
請求原因2(賃貸借契約の終了に基づく建物明渡請求:無断転貸による解除)
①’ 上記①~④、⑥に同じ
②’ YはBとの間で、令和3年12月1日、甲建物について下記賃貸借契約を結んだ。
賃料1か月10万円、期間は定めていない
③’ Yは、同日、②’に基づき、甲建物をBに使用させた。
④’ Xは、令和4年3月3日、Yに①の契約を解除する意思表示をした。
抗弁1(請求原因1に対し、解除理由が正当であることを障害する事実)
1⃣ Aは長く借りてほしいと言っていたこと、適当な移転先が無いこと、など
抗弁2(請求原因2に対し、転貸に対する承諾があったとの抗弁)
1⃣’ Aは①の契約の際、「誰に貸しても構わない」と転貸を承諾していた。
抗弁3(請求原因2に対し、非背信性の評価根拠事実)
1⃣’’ Bは、Yの妻のおいであり、一緒に働いていたこと、など。
再抗弁(抗弁3に対し、非背信性の評価を障害する=背信性の評価根拠事実)
⓵ Bは有名な不良であり、不良仲間を甲建物に宿泊させていること、など
小問の請求原因(所有権に基づく動産引き渡し請求)
① Xは、令和3年7月1日(Yが認めている日まで)当時、甲絵画を所有していた。
② Yは、甲絵画を占有している。
抗弁(即時取得したとの抗弁)
1⃣ Yは、令和3年7月1日、Aから、甲絵画を15万円で買った。
2⃣ Yは、同日、Aから、1⃣に基づき、甲絵画の引き渡しを受けた。