組織再編のポイント① 吸収合併
司法書士試験 会社法・商業登記法のヤマの1つである組織再編について、1つずつポイントを整理していきます。
吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転、株式交付があり、覚えるべきことの多さに気が遠くなりそうですが、全ての組織再編において「共通ルール」が適用されますので、その「共通ルール」を捉えることができれば、ずいぶん整理されて理解しやすいものになると思います。
今回は、すべての基本といって良い、吸収合併です。
吸収合併とは
吸収合併承継会社(X株式会社とする)が、吸収合併消滅会社(A株式会社とする)の権利義務一切を包括承継することです。
A株式会社は、その名のとおり、吸収合併によって「消滅」します。
A(株) → 一切の権利義務 → X(株)
A(株)は消滅
吸収合併承継会社からの合併対価
A(株)は消滅してしまうので、A(株)の株主にX(株)から対価を交付するのが基本です。
X(株) → A(株)の株主
X(株)の株式、新株予約権、新株予約権付社債、金銭、何でも良いです。無対価もありです。
X(株) → A(株)の新株予約権者(無対価はダメです ∵消滅会社の債務を放置できない)
新株予約権、新株予約権付社債、金銭のいずれかです。株式はダメです。
A(株)が、株券発行会社または新株予約権証券発行会社であり、それぞれ対価がある場合は、株券提出公告、新株予約権証券提供公告が必要。
吸収合併を承認する株主総会
X(株):特別決議が原則。A(株)が特別支配会社であれば省略可(略式組織再編)。対価が純資産の20%以下であれば省略可(簡易組織再編)。
A(株):特別決議が原則。X(株)が特別支配会社であれば省略可(略式組織再編)。簡易組織再編はありえません。
反対する株主と新株予約権者の保護
上記、株主総会で吸収合併に反対した株主、あるいは、略式組織再編で株主総会が省略された場合の消滅会社の反対株主には、反対株主の株式買取請求制度があります。
新株予約権者にも同様の制度があります。
債権者保護手続きの要否
債権者の保護手続きとは、その会社の債権者が「その吸収合併、ちょっと待った!」と異議を言える制度です。
【債権者保護手続きが必要な場合(共通ルール)】
(1)債権者の請求書の宛先が変わってしまう場合(請求先が優良会社から経営危機会社になるおそれがある)
(2)会社の財務状況が悪化するおそれがある場合(債権を回収できないおそれが生じる)
A(株)の債権者 → 全ての債権者に対して債権者保護手続きを要する
∵A(株)は消滅してしまうので、今後はX(株)に請求書を送らなければならない
X(株)の債権者 → 全ての債権者に対して債権者保護手続きを要する
∵X(株)は、A(株)の債権債務の一切を承継するので、財務が悪化する恐れがある
