司法書士試験直前確認~民法~

1)未成年者と成年被後見人
・未成年者の法律行為
→ 法定代理人の同意を得て自ら行う または 法定代理人によって行う
  上記の規定に反する行為は、取り消すことができる(ただし書きあり)
・成年被後見人の法律行為
→ 法定代理人によっておこなう
  自らおこなった法律行為は、取り消すことができる(ただし書きあり)
  「成年後見人が同意して〇〇」は、原則、ない

・未成年者と成年被後見人には、原則、意思表示の受領能力はない
→ 相手方は、法定代理人に対して意思表示すべき

2)条件
・停止条件 →→〇⇒⇒ 条件成就〇より、効力発生⇒
 はじめから条件が成就 〇⇒⇒⇒⇒ 無条件に効力発生(無条件)
 条件が成就しないことが確定 →→→→ 効力は発生しない(無効)
・解除条件 ⇒⇒〇→→ 条件成就により、効力消滅→
 はじめから条件が成就していれば 〇→→→→ はじめから効力は生じていない(無効)
 条件が成就しないことが確定 ⇒⇒⇒⇒ 効力は消滅しない(無条件)
・「気が向いたら○○を贈与します」は無効
 ∵債務者の意思のみを停止条件とした契約だから
・「贈与した○○を希望したら返却してね」は有効
 ∵債務者の意思のみを解除条件とした契約だから

3)民法の第三者保護規定
 → 意思表示した者の「責任の大きさ」により保護の度合いが決まる
・意思表示した者の責任が大きい場合(心裡留保、虚偽表示)
 → 第三者は、「善意」であれば保護される
・意思表示をした者の責任が若干小さい場合(錯誤した者、詐欺被害者)
 → 第三者は、「善意無過失」であれば保護される
・意思表示した者の責任がない場合(制限行為能力者、強迫被害者)
 → 第三者は保護されない

4)時効の完成猶予と更新
・完成猶予 → 権利者の権利行使により、時効の完成が猶予される
(例)訴えの提起、支払督促、催告(1回のみ)
・更新 → 当該権利の存在が明確になったとき、時効が更新される
(例)判決の確定、抵当権の実行手続の完了

5)即時取得の要件
・動産であること(未登録自動車も動産である)
・取引行為であること(贈与、競売も取引行為である)
・取引行為は有効であること(制限行為能力、無権代理等で無効な取引はダメ)
・占有を開始すること(占有改定はダメ)
・平穏、公然、善意、無過失であること

6)担保物権の整理
・担保物権(典型担保)
(法定担保物権)留置権、先取特権
(約定担保物権)質権、抵当権・根抵当権
・留置的効力のあるもの → 留置権、質権
・元本確定前根抵当権に、付従性と随伴性は無い
・留置権には優先的弁済効力はない(他の典型担保物権にはあり)
ただし「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。」(民297条)
・債権を目的として、抵当権・根抵当権を設定することはできない
←→ 債権に質権を設定すること(債権質)はできる。

7)連帯債務(債権者A→可分債権→債務者B、C)
・相対効の原則
 → Bの債務が無効であっても、Cの債務に影響なし
 → Bが債務を承認しても、Cの債務の消滅時効は更新しない
 → A→B請求しても、Cの債務の消滅時効は更新しない
・更改の絶対効
 → AとB更改の場合、Cの債務も消滅(BはCに求償できる)
・相殺の絶対効
 → AとBが相殺すると、Cの債務も消滅(BはCに求償できる)
・混同の絶対効
 → AとBが混同すると、Cの債務も消滅(BはCに求償できる)